グラレコ導入でイベントが生まれ変わる!「伝わる」を最大化するグラフィックレコーディングの魅力とは

更新日:2025年7月16日

初めまして!この春からインクに入社しました小西です。

incdesign ALL HANDS 2025 を開催した時に導入したグラレコについて、「めちゃくちゃ良かった!」以外に感想がないくらいメンバーからの評価が高かったので深掘りしてみました。

イベントにおすすめのグラレコ

講演やウェビナー、会議、ワークショップなど、企業イベントの形は多様化しています。

しかし、「情報量が多すぎて参加者に伝わりにくい」「せっかくのイベントの熱気が残らない」「堅苦しい雰囲気で参加が進まない」「つまらないと思われている気がする」なんて、切ない気持ちで運用している方、多いと思います。

そこでおすすめしたいのが、グラフィックレコーディング、通称「グラレコ」です。

イベントの内容をリアルタイムで絵と文字で記録し、一枚の大きな絵として可視化するグラレコは、イベントを劇的に生まれ変わらせる可能性を秘めています。

そもそもグラレコって何?

グラレコ:グラフィックレコーディングとは、講演や会議、ウェビナーといったイベントで話されている内容を、その場で絵や文字、記号を用いて視覚的に記録していく手法です。まるでイベントが一枚の絵になるように、キーポイントや議論の流れ、参加者の感情までもがリアルタイムで表現されていきます。

なぜ今、企業イベントにグラレコが求められるのか?

情報過多の時代において、「いかに分かりやすく、効果的に情報を伝えるか」がより重要になってます。話を聞くだけでは集中力が続かなかったり、複雑な内容を理解しきれなかったりするケースも少なくありません。その場での理解を促し、振り返りの解像度を上げ、記憶のトリガーにもなりやすいグラレコは、この「伝わる」を最大化する強力なツールとして注目を集めています。

グラレコが「伝わる」を最大化する仕組み

グラレコは、単に情報をイラストで飾るだけではなく、情報を構造化し、視覚的に整理することで、参加者の理解を深め、「伝わる」を最大化します。

先日、弊社インクデザインのオールハンズにて、グラレコを導入しました。

その時の記事はこちら

今回は、その時のグラレコを担当してくれたひかりさんの体験談を交えながら、グラレコの魅力と可能性を深掘りしていきます。

今回、初めてグラレコに挑戦してくれたひかりさん。イベント当日までの準備や、リアルタイムで情報をまとめるコツについて伺いました。

リアルタイムでどう描く?情報のまとめ方のコツ

イベントの熱気をそのままに、情報をギュッと凝縮して一枚の絵にするグラレコ。リアルタイムで描き進めるには、いくつかのコツがあるようです。

【事前準備】イベントのゴールと伝えたいことの整理

グラレコは、書き始める前がとっても大事!当日ぶっつけでできるものではありません。事前に内容と、おおまかなイベントの流れや資料を共有しておきます。その上で最も大切なのは、「イベントのゴール」と「最も伝えたいこと」を明確にすることです。

インクデザインのオールハンズでは、事前に司会と打ち合わせを行い、投影スライドを共有しながら、グラレコの目的を「インクらしさをまとめること」としてトライ。この「最も伝えたいこと」という軸があることで、イベント中に飛び交う大量の情報の中から、何を描き、何を省略するかの判断基準が生まれます。

【当日】大量の情報をギュッと凝縮するテクニック

リアルタイムで情報を絵にするためには、情報の取捨選択が欠かせません。ひかりさんは「つまり何が言いたいか」を基準に、話の要点を掴んでいました。

話全体の流れを追いつつ、特に重要なキーワードやフレーズをキャッチ。「会社」「人」「矢印」などのアイコニックなモチーフは積極的にイラスト化することで本流の流れをキープし、一方で重要なキーワードや固有名詞は文字で表現し、トリガーとして位置付けます。

さらに、情報をただ羅列するのではなく関連する情報を線でつなげたり、グループ化したりすることで、情報の関係性も可視化します。これにより、複雑な内容も一目で理解しやすくなるんですね。

どんなに大きなキャンパスでもすべての情報を盛り込むことはできませんから、理解を妨げない範囲で、具体的なエピソードや補足情報を省略し、本質的なメッセージにフォーカスもしていました。

的確にキーワードを抽出し、イラストと文字を使い分け、イベント内容の構造を念頭に置きながら、本質的なメッセージにフォーカスすること。そんなことを考えながらリアルタイムで手を動かし表現していく、千手観音か!

これらのハイテクニックが今回のグラレコの成功に繋がったわけです。

参加者の反応を見ながら描く、ライブ感の楽しさ

イベント中もその後も、コミュニケーションを生むツールとしてのグラレコは活用できます。

グラレコは、ただ情報を記録するだけでなく、その場の雰囲気や参加者の感情も取り込むことができます。描いている最中に参加者が興味深そうに近づいて見に来たり、完成したグラレコを見て会話が生まれたりする瞬間は、グラレコならではの醍醐味。このライブ感こそが、グラレコの大きな魅力の一つです。

グラレコ導入で得られた3つのメリット

インクデザインのオールハンズでグラレコを導入したことで、具体的にどのような効果があったのか、3つのメリットをご紹介します。

メリット1:言語理解の補助!複雑な情報も一目でわかる「可視化」の力

「聞くだけ」から「見てわかる」へ。

グラレコは、複雑な情報や専門用語だらけの議論も、視覚的に整理することで理解度を格段にアップさせます。「見ていて楽しかった」「似顔絵が嬉しかった」「雰囲気が良かった」といった声もありました。グラレコは、参加者全員が同じ認識を持てるようにサポートし、次のアクションにもつながりやすくします。

メリット2:振り返りの質が劇的に向上!イベントの「熱気」まで残せるデータ

グラレコは、単なる議事録ではありません。社内共有資料やSNS発信にも最適な「見せる」資料として活躍します。

後日イベントに出れなかったメンバーとの共有でも盛り上がり、次こそは参加したいという声もありました。写真だけでは伝わらない「イベントのストーリー」を記録し、当時の議論や感情までも鮮明に蘇らせるグラレコ。イベント後の振り返りの質が劇的に向上し、参加できなかったメンバーにもイベントの温度感を届けられます。

メリット3:イラストだから柔らかい!参加を促し、エンゲージメントを高める効果

堅苦しくない「イラスト」がもたらす親しみやすさは、イベントの参加のハードルを下げ、よりチーム力を高める効果が期待できます。イベント後のアンケートにも好影響を与え、参加者のポジティブな印象の向上にもつながりました。イラストの柔らかさは、コミュニケーションを円滑にし、エンゲージメントを高める力があるのです。

グラレコが向いていないイベントとは?

グラレコは多くのイベントでその力を発揮しますが、中にはその特性が最大限に活かされない、あるいはかえって難易度が高くなるケースもあります。どんな会議やイベントだとグラレコが向いていないのでしょうか?

・議論が拡散しやすく話の方向性や明確な軸がない、ワイガヤ的な会議

・講義形式で正確な情報伝達が求められるイベント(学会発表、報告会、技術説明会)

・複数テーブルでワークショップ形式で開催される内容を1枚の絵にまとめる

・参加者・登場人物が超少数

グラレコは、「つまり何が言いたいか」を捉え、視覚的に構造化するからこそ真価を発揮します。そのため上記の会議などでは、グラレコでの情報整理は非常に難しくなります。また、概要や研究発表などの一方的な情報発信やデータの報告などの場合はリアルタイムでグラレコせず、スライドを用意すればいいですよね。

グラフィッカーが高いスキルを持っていても、イベント全体のゴールや軸、構成が曖昧であったり、事前の共有ができなかったり、必要性を考えずに導入してしまったりすると、効果的なグラレコの作成は困難になるでしょう。

無理にまとめない柔軟さで逆に活きる?

しかし逆に、「話題が拡散しまくって何も決まらない」、そんなカオスをあえて表現することを目的とするならアリなのではないでしょうか?ちょっとチャレンジングですけど。

無理に情報をまとめようとせず、議論の拡散性や未確定な部分をそのまま表現することで、現在の状況や課題を共有するツールとして機能することもあるのではないでしょうか。

今回のオールハンズはグラレコ向きだった?

今回のインクデザインのオールハンズは、「社史」という「時間」の軸があったため、グラレコとして構成しやすかった側面があるかもしれません。時間軸に沿って出来事を整理していくことで、情報の流れが追いやすく、ストーリー性を持たせまとめやすかったという面が考えられます。

弊社のような「社史」イベントであったり、未来へ繋ぐ社のビジョンの策定、特定のテーマに沿って段階的に情報が展開されるセミナーなど、「軸」や「流れ」が明確なイベントは特にグラレコと相性が良いのでは?!

グラレコは未来につながるコミュニケーションツール

グラレコは、「全体像が見やすい」「写真だけでなくイベントの内容まで残せる」「イラストだから柔らかくて優しい印象になる」といったポジティブな効果をもたらします。

ただ、会議や対話を「素材」として編集できてしまうということは、意図せず「刃物」のような鋭さを持たせてしまうことでもあります。華やかで面白い反面、編集責任は非常に大きく、扱い方によってはマイナスな印象をもたらす可能性もあります。本格的な依頼を検討されている方には、プロのグラフィッカーの方への依頼がおすすめです。

グラレコは単なる記録ツールではなく、未来につなげるコミュニケーションツールです。その可能性を感じた今回のグラレコ導入は、超!大成功だった、とメンバー全員が感じていました。

意義のあるイベントを行い、楽しみ、残す。

リアルで集まらなくていい時代に、あえて顔を合わせて感じるものを温かく残せるグラレコは、人間味の集大成として今後重宝されることになるのではと考えています。

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