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IR資料やIPO資料など企業情報のデザインを専門とする私たちインクデザインのデザイナーが、日常業務でAIをどう使い分け、それによって作業フローがどう変わり、何に時間を使えるようになったのかをまとめました!
私たちが使っているAIツール
まず社内で使われているAIツールを聞いてみました。
インクデザインでは、お客様の情報保護を最優先に、業務内容に応じてセキュリティレベルの適したAIツールを選定・運用しています。
主に使われているツール
- Gemini:会社で導入しているため、メインで使用している人が多い
- NotebookLM:インタビュー音声やPDFを案件ごとにプールして、案件のデータベースとして活用
- ChatGPT:文章のブラッシュアップに使用。Geminiで出した殺風景な文章のテイストを変えるのに便利
- Perplexity:ソース付きで情報を調べたいときに使用。根拠ある情報が必要な場面で重宝
- Google AI Studio:開発系で高度なコーディングに強い。3Dやアニメーションなどにチャレンジしている
- Cloude:他のAIに出すプロンプトを一緒に考える
使い分けのポイント: 例えば、Claudeでプロンプトのテンプレートを作り、それをGoogle AI Studioに渡して3DのWebサイトを生成するといった、AI同士を組み合わせた活用を行なっています。
【デザイン作業フェーズ別】AIに期待すること・デザイナー(人)が注力すること
1. リサーチ・情報収集
✅ AIに期待すること
- クライアント業界の専門用語を理解する
- 使用するツールで要件を満たす実装が可能か確認する
- ソース付きで根拠ある情報を調べる(Perplexity使用)
- 競合資料の傾向分析
AIの活用で情報へのアクセスと基礎理解にかかる時間が劇的に短縮されています。
例えば、Perplexityを使ってソース付きで信頼性のある情報を即座に得たり、NotebookLMに案件ごとのインタビュー録音やPDFをプールしておけば、過去のクライアントとのディスカッションを瞬時に参照できます。
💪 デザイナー(人)が注力すること
- 情報を咀嚼し、デザインのコンセプトやトーンの着想を得る
- どの情報が本質的に重要かを見極めること
- クライアント企業の独自性を理解すること
「DX推進」というキーワードでも、建設業のDXと医療業のDXでは文脈が全く異なります。
集めた情報の中から、その企業独自の強みや課題を読み取り、それをどんなビジュアルトーンで、どんな構成で表現するかを考え、情報からデザインへ翻訳することに時間を割けるようになりました。
2. 企画・アイデア出し
✅ AIに期待すること
- ブレインストーミング・壁打ち相手
- 「ありがちな案」を先に出してもらい、差別化の起点にする
- デザイン説明用の論点を整理する、言語化を補助する
AIとの対話はデザイン案をクライアントに説明する際の論点整理にも使えます。
「なぜこのビジュアルトーンを選んだのか」を言語化する作業は、デザイナーにとって時に難しいものですが、AIに「このデザインの意図を投資家向けに説明するなら」と投げかけることで、説明の骨子を素早く組み立てられます。
💪 デザイナー(人)が注力すること
- 投資家目線でどう見せるか構想する
- 企業のフェーズに応じた訴求軸を定める
- 競合IR資料との差別化ポイントを見出す
- 具体的なビジュアルコンセプトに落とし込む
AIが出す「ありがちな案」によって、むしろ「それじゃない」という感覚を明確にできるという意見がありました!
この反証としてのAI活用は、差別化の起点として有効です。「この会社はもっとこういう側面がある」「競合と同じ見せ方では埋もれてしまう」という気づきが生まれます。
4. デザイン制作
✅ AIに期待すること
- レイアウトバリエーションの試作・比較検討
- 画像のクリーンナップ(不要な要素の除去、映り込み補正など)
- ダミー画像の生成
- 写真素材の調整・補正作業
- アクセシビリティチェック(コントラスト比、フォントサイズなど)
今のところインクデザイン社内ではビジュアルデザインそのものにAIを活用している例は、まだほとんどありません。
💪 デザイナー(人)が注力すること
- ビジュアルを制作する
- 競合との差別化を視覚的に表現する
- デザインの細部を詰める
- 最終的な品質判断
「出てきたものに従うだけではダメ。納得させられる理由が必要」
「結局自分で考えることが大事」
「審美眼がないと、AIが出したものを評価できない」という声がありました!
5. コーディング・実装
✅ AIに期待すること
- 既存のスタイルを踏襲したページ追加
- 重複しているCSSの発見
- コードのベース作成
- パーツの動作確認・デバッグ
- 画像のaltタグなど、見落としがちな要素の自動挿入
- 3Dやアニメーションなど、新しい知識が必要なパーツの実装補助
以前ならJavaScriptでゼロからコーディングが必要だった、インタラクティブな要素の実装も可能になるなど、コーディング領域ではAIの活用を進めています。
💪 デザイナー(人)が注力すること
- サイトの動線設計・コンサルティング
- サイト構造の見直し・最適化
- 全体の品質管理
- AIが出したコードの精査
- デザインのブラッシュアップ
AIでコーディングまで一気に進められるようになったことで、プロトタイピングの速度が上がり、早い段階で動くものを見ながらデザインを検討できるようになりました。
従来は「カンプ→コーディング→確認→修正」という直線的なフローでしたが、現在は「アイデア→AIで即座にプロトタイプ→触って確認→デザイン修正→再度プロトタイプ」という反復的なフローも検討可能になっています。
AIでワークフローはどう変わったか
- 時間配分の最適化
定型作業にかかる時間が削減され、創造的思考と審美眼が求められる部分に時間を使えるようになった - 反復サイクルの高速化の可能性
プロトタイピングが即座にできるようになったことで、「作って→見て→考えて→直す」のサイクルが高速化し、試行錯誤の回数が増やせる見込みがある - スキルの幅の拡大
これまでエンジニアに頼んでいた3Dやアニメーションなども、プロンプト次第で実装できるようになり、デザイナーができることの幅が広がった。その分デザイナーはディレクションなど、他のスキルアップのために時間を使えるようになる
まとめ
AIに上記の内容を伝えて、私たちが考えていることをキーワードでまとめてもらいました。
✅ AIに期待すること
- 情報の検索と取得:調べればわかる情報へのアクセス
- 定型的な加工作業:電線消し、映り込み除去など、指示が明確な画像編集
- コードのベース生成:既存スタイルを踏襲したページ作成、CSSの重複発見、3D/アニメーション実装
- 見落とし防止:altタグなど、人間が忘れがちな要素の自動挿入
- 高速プロトタイピング:アイデアを即座に形にして検証できる
- 反証材料の提供:「ありがちな案」を出すことで、「それじゃない」という気づきを与える
💪 デザイナー(人)が注力すること
- 創造的な発想:企画の核となるアイデア、独自性のある提案
- 審美眼による判断:デザインの良し悪し、サービスらしさの表現、AIが出したものの評価
- 文脈の理解:クライアントとの関係性、企業独自の価値、プロジェクト固有の空気感
- 最終的な意思決定:「これで行こう」という核心的な判断
- 企業独自性の表現:IR資料など、その企業らしさを伝えるデザイン
- 本物を見る体験:美術館で感じる「圧」のような、言語化できない感覚を積み重ねること
いかがでしたでしょうか?
2025年も、AIの進化は続くでしょう。私たちも定期的にこうした対話を重ね、自分たちとAIの役割分担を見直し、常に最高品質の成果物を届けることを目指していきたいと思います。
(記事執筆・清田睦月)













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