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こんにちは。代表の鈴木です。
インクデザイン株式会社では、中期経営計画の企画、コンサルティング・デザインのお手伝いを多数行っています。
最近では初めての中期経営計画、「どうやって作ればいいか?」というお問い合わせも増えてきましたので、「中期経営計画の作り方」と題してざっくりとした作り方を解説します。
上場企業はもちろん、非上場の企業様でも参考にしていただけたらと思います!
中期経営計画とは?
企業が中期的に達成すべき目標や戦略を明確にし、その実現のための行動計画のことを指します。
一般的には、3年から5年程度の期間を対象にしたものが多いです。
中期経営計画って必要?
必要だと思います。
上場企業の場合は、株主・投資家、社内に向けて、非上場の企業にとっても、お客様や社内に向けて、目指すべき方向を示す「道標」として作成して浸透させる必要があります。
中期経営計画の作り方と要素
作り方に関しては、色んな方法や要素があるかと思いますが、ここでは一例を挙げます。
以下のような内容の議論を重ねる必要があるということになります。
企画・編集的な中期経営計画のテンプレートとしてご覧いただければと思います。
開示項目
- MVVP(ミッション、ビジョン、バリュー、パーパス)
- エグゼクティブサマリー
- 長期ビジョンからのバックキャスト
- 現状分析(フォアキャスト)
- 前中期経営計画の振り返り
- 基本方針
- 数値目標
- 戦略① 事業戦略
- 戦略② 投資計画・方針
- 戦略③ 財務戦略
- 戦略④ 人的資本
- 戦略⑤ DX戦略
- 株主還元
- サステナビリティ
- ガバナンス
- その他
MVVP(ミッション、ビジョン、バリュー、パーパス)
中期経営計画を語る上で、企業が「何を目指すか」、「何のために事業を行うか」について表現することはまず必要だと思います。
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エグゼクティブサマリー
中期経営計画は経営上どういう位置付けなのか、どんな方針で計画したのか等を、あらかじめ1ページにまとめておくとより理解が深まります。
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長期ビジョンからのバックキャスト
中期経営計画はその名の通り中期の計画であるので、10年20年先の長期ビジョンに向けた第一歩といえます。
長期ビジョン達成の為、今から3年で何を行うべきか、長期的にありたい姿を元にして考える必要があります。
いわゆるバックキャストですね。
投資家に取っては長期的な投資の対象になるか?
という判断軸にもなるので、ロングビジョン、ビッグビジョンは重要な要素であると言えます。
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現状分析(フォアキャスト)
とは言え長期ビジョンからのバックキャストだけでは、夢物語のような計画になってしまうこともありますので、 現時点での分析も大切です。
外部環境、市場の状況、世の中の情勢、外的な脅威・リスク(法律、国際問題、環境、災害など)
自社の状況、つよみ、ケイパビリティなど、外部、内部の状況をリストアップ的に抽出する作業から始めてもよいかと思います。
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前中期経営計画の振り返り
前回の中期経営計画が達成できたのか、達成できなかったことは何だったか、見えてきた課題は何か。
振り返りを行う事も大切です。
初めての中期経営計画の場合は、直近の業績などを元に振り返るとよいかと思います。
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基本方針
具体的な戦略(打ち手)の上位概念として、基本方針を定めます。
例えば、
「より上流の価値を提供するために、デザイン会社からデザイン・コンサルティングチームへの変革」
のように、抽象的すぎないスローガン的な内容がよいかと思いますし、経営陣でたくさんの議論が必要ですね。
特に、投資家などの外部ステークホルダーに伝える際には、わかりやすい言葉を選ぶとよいかと思います。
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数値目標
その名の通り数値的な目標で、KPIやKGIと言われるものですが、ここでは「数値目標」という言葉でまとめます。
どの数値を数値目標にするかは、戦略に基づく必要があり、経営陣の中でも議論を重ねる必要があります。
売上高、売上成長率、営業利益、営業利益率のようなものがあげられます。
また、上記のような財務目標意外にも、非財務目標を設定することも多いです。
CO2排出量や従業員エンゲージメントスコアなどのESG関連の指標がそれですね。
繰り返しになりますが、数値目標は戦略に紐付くことが望ましく、
「新規顧客の増加」が戦略の一つなら、新規顧客数、新規顧客の売上高などを数値目標にするのが望ましいです。
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戦略(①〜⑤)
具体的な戦略、打ち手、つまり「何をやるか?」です。
営業的な攻めの戦略がメインになりそうですが、全方位的な戦略の策定も必要になります。
もちろん具体的であるべきですが、開示する場合、競合他社へ手の内を見せる事にもなるので、何処まで見せるか、社内用と開示用では分ける、などの議論は必要になってくると思います。
戦略① 事業戦略
営業戦略、セグメント・部門ごとの取組、地域別戦略、新規事業などが挙げられます。
投資家の関心が非常に高い領域ですね。
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戦略② 投資計画・方針(キャッシュアロケーション)
手持ちのキャッシュを何に投資するのか、可能な限り詳細に記載します。
将来の成長に大きく影響するので投資家の関心も高いです。できるだけ具体的に開示できると良いですね。
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戦略③ 財務戦略(各財務指標の目標)
資本コストを表すWACCや、資本収益性を表すROIC・ROE、市場評価を表す株価・PBR・PERなどの指標を用います。
自社の現状を把握・分析し、目標数値を設定します。
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戦略④ 人的資本
企業の成長に欠かせない重要経営資源である「人」。
人的資本に関する社内方針や目標数値などを開示する企業が増えています。
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戦略⑤ DX戦略
今や、企業の存続・成長のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは不可欠。
DX推進のための取り組み、投資金額、人材育成などについて掲載します。
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株主還元
株主還元の方針と目標数値について掲載します。特に個人投資家の関心が高い領域ですね。
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サステナビリティ
投資家の関心が高い領域です。
定性的な情報に加え、GHG排出削減量・率、CDP気候変動スコアなど、具体的な数値を用いて掲載する企業も増えてきています。
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ガバナンス
ガバナンスの強化に向けた取り組みや、ガバナンスの社内体制について掲載します。
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その他
実際の中期経営計画の資料には上位の要素の他に、下記のような内容を掲載すると良いかと思います。
社長メッセージ
中期経営計画を実行する意気込みなどを語ることは内外的に重要かと思います。
会社概要
初見の投資家もいるので、端的にどのような企業かを伝える必要があります。
沿革
長期ビジョンとは反対に、どのような歴史をたどってきた企業なのかを伝えることで、 ビジョンやミッションに納得感が生まれます。
事業内容(セグメント情報)
どんなビジネスをしているのか、何で稼いでいるのか、初見の投資家には必要な情報かと思います。
業績推移
過年度からの業績の推移を示すことで、どんな規模の企業でどのように収益を上げてきたかがわかるため、必要な情報かと思います。
どのように資料にすればいいか?
さて、ここまでは、企業の経営陣や経営企画部などでまとめるような内容だと思います。
私どもも、経営陣と一緒に内容ディスカッションをすることが多くありますが、インクデザインの真骨頂としてはこの後の資料としての見せ方の部分になります。
私どもとしては、
「資料のデザインは、プロに任せて!!」
と言う方がクオリティや効率、省人化ともに良いと推したいところではありますが、それでは元も子もないので。
私の作業的なコツです。
・文章は何度も見直し、冗長な部分を削っていく。できれば箇条書き
・色は少なく。
・時間の流れは左から右に表現。
の3つを守ればある程度まとまると思います。特に文章は大切!
あとは、他社事例などを見て真似るとよいかと思います。
また、私どものようなプロにお任せいただく場合は、ラフ的なデザインを行っていただく必要もないです。
逆に何が言いたいかがわからなくなるので文章だけでも十分です。
文章も私どもでは、編集を前提としているので、ざっくりの文章でもOKです!
そのうち、中期経営計画のデザインテンプレートなんかも作りたいですね。
最後、営業的な案内になってしまいましたが、インクデザインでは、ふわふわとした段階から参画させていただき、一緒に作っていくことができます。
また、私が会社様にお伺いして、2時間くらいみっちりと「あーでもないこーでもない」と、スライドをライブで作るなんてことも可能です。
中期経営計画の作り方や、デザイン、資料への編集でお困りの事があればぜひご相談ください!