【制作事例】御堂筋税理士法人様|統合報告書

更新日:2025年5月19日

未上場企業でも高まる統合報告書ニーズ

企業がその財務情報だけではなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)などの非財務情報を統合して、自らの戦略や将来の見通しなどをわかりやすく示す「統合報告書」。

上場企業全体での発行率はまだ50%以下に留まっていますが、2023年の調査では日経225構成銘柄の92%にあたる企業が統合報告書を発行するなど、今後も統合報告書作成のニーズは継続的に高まっていくものと予想されます。

私たちインクデザインでも、資生堂様オンワードホールディングス様アダストリア様など統合報告書の制作を数多く手掛け、ご依頼件数も年々増えています。

そんな中で今回は「未上場企業様での統合報告書制作」という象徴的な案件を担当させていただきましたので、事例としてご紹介したいと思います。

まだ上場企業ですら全社が統合報告書を作成しているわけではない、という状況下で、本来未上場や中小企業には統合報告書を作成する義務はありません。一体どのようなメリットがあって統合報告書の作成を検討されたのでしょうか。

中小企業・未上場企業が統合報告書を作成するメリット

このたび、インクデザインでは御堂筋税理士法人グループ様の統合報告書・中期経営計画発表会で使用するスライド・発表会のオープニングムービを制作させていただきました。

制作物統合報告書 / 中期経営計画発表会スライド / オープニングムービー
依頼回数初回
使用ツールInDesign / PowerPoint / Premiere
制作・印刷インクデザイン株式会社
弊社担当範囲デザイン・企画・構成(統合報告書の企画・構成はお客様が担当)
制作期間約3か月
座組プランナー2名・エディター1名・デザイナー2名

グループとして成長を続ける中で、社内外に向けてヴィジョンや経営計画を発表、これらを総覧的に伝達するツールとして統合報告書を活用された、ということになります。

具体的なひとつひとつの内容をご紹介する前に、まず上場企業の統合報告書にはどのような内容が掲載されているのか、少し見てみましょう。

  • 発行にあたって(トップメッセージ)
  • 企業としてのあゆみ
  • 事業コンセプト
  • 価値創造プロセス
  • 長期経営ビジョン
  • 事業戦略
  • 環境に関する取り組み
  • 社会に関する取り組み(社会貢献など)
  • ガバナンスに関する取り組み
  • 人的資本経営に関する言及
  • 財務情報
  • 社外からの評価

何かに似ていると思いませんか。

トップメッセージや企業の沿革、事業ドメインや事業部の商会、企業としてのCSR的な取り組みなどは、未上場企業の皆様も必ず作成される、所謂「会社案内」「会社概要」パンフレットでもお馴染みのコンテンツです。

つまり、統合報告書とは、未上場企業において「より複合的な視点や長期的な視野を加えた会社案内のアップデート版」として活用ができるツールである、ということです。

上場企業ではあまり考えたこともない視点だと思うのですが、「従来型の会社案内パンフレット」と「統合報告書」を比べてみます。

営業・採用・社内向け、すべての目的に使える新パンフレット

1. 新規顧客開拓にも活用できる統合報告書

商談の場で他社の会社案内パンフレットを受け取って、パラパラとめくってはみたものの、特に話が盛り上がらないまま終わる、という経験はありませんか。表面的な綺麗事しか書いておらず、実態が良くわからない。特にフックになるような内容も無い。でも会社案内ってそういうもの。

そう思われている中小企業・未上場企業の方ならば、統合報告書が新規開拓時の営業ツールとして活用できるとご理解いただけるはずです。

売上などの財務情報、どのようなヴィジョンを持って社会貢献に取り組んでいる企業なのか、環境への配慮はあるか、自社と事業戦略がマッチしているかなど、すべて網羅されています。新たな取引先として検討するにあたって、大企業が知りたい内容が全部載っている。それが統合報告書です。

実際に、脱炭素経営など環境への取り組みを進める中小企業の大半は「取引先の上場企業から対応を求められた」ことが環境負荷の軽減に取り組む契機であったと回答している統計もあります。
大手と取引したければ、先に自社の環境を整え、さらに統合報告書の形で可視化しておくことが必須。そんな未来がすぐそこまで来ています。

2. Z世代に向けた人材採用ツールとしての統合報告書

新卒採用の現場でZ世代人材から自社の社会貢献やガバナンス、長期的な成長戦略について質問されて面食らったという中小企業経営者の声を良く聞くようになりました。

仕事を通じて社会貢献をしたい、社会的に正しいことをしている企業で働きたいという希望は、経営者世代が考えるより遥かに、現代の求職者にとっては一般的なものです。そんな難しいことを求める人は大企業を受けてくれ、ではこの求職者優位の人手不足時代を生き延びることはできません。

そもそも、面接で質問を受けるのは「外部からそれが見えない」からでもあります。いま求職者に何が求められているのか、価値観や人的資本、企業文化をどう見せれば良いのか。そんな採用力強化のお悩みに、統合報告書の作成はぴったりとはまります。採用ツールとしても非常に有効なのです。

3. 社員のエンゲージメントを高めて部門間の連携を生む統合報告書

企業理念やパーパスを策定したがあまり社内に浸透していない、売上は伸びているが社員が疲弊して成長戦略への共感が少ない、退職者が相次いで社内のモチベーションが上がらない、事業部ごとの競争や対立が激しく会社としての一体感が生まれない、急成長したために創業以来の企業文化のようなものが消えてしまったり醸成できていない…。

成長期の企業で良く起きる事故です。業務は順調だが、どうも社員エンゲージメントの部分で課題がある気がする。そんな時にも、自社の現状と向かうべき姿を一冊にまとめた読み物、ブランディングツールとして、統合報告書は活用可能です。通常の中小企業・未上場企業では作らない資料だからこそ、自社の成長力や高い目標が際立つことでしょう。

中小企業にとってのソリューションの実験台として

ここまで「中小企業・未上場企業が統合報告書を制作するメリット」ばかりご紹介して全体的に「それってあなたの感想ですよね」状態に見えているかも知れませんが、今回御堂筋税理士法人グループ様の統合報告書は、まさに上記のような戦略的な目的を持って企画され、弊社にご相談がありました。

7つのソリューションを軸に「中小企業のヒト・モノ・資金・ITの課題解決のすべてを担うソリューション・ファーム」と自社を位置付ける御堂筋税理士法人グループ様では、ソリューションのひとつとして経営コンサルティング事業を提供されています。

月次決算、経営計画、経営のコックピット、生産性向上など、そこで提供されるメソッドやノウハウは、すべて御堂筋税理士法人グループ様が自ら経営の実験場となり、挑戦の結果、成功を収めたものばかりです。

「私たちの組織は常に実験台」

統合報告書にも書かれたこの力強いメッセージの通り、中小企業の経営課題解決のために役立つ次の一手として、御堂筋税理士法人グループ様が今回実験に挑戦されたのが「統合報告書」と社内イベントとしての「中期経営計画発表会」でした。

高い専門性と豊富な経験で初めての試みを力強く支援

上場企業の統合報告書制作でも、最も負荷の高いパートは社内各部署からデータを含む原稿を集めて、それを統合してまた各所へチェックに回すという作業です。
(この点についてもインクデザインでは画期的な解決策を保持しています)

御堂筋税理士法人グループ様でも、事業規模も内容も異なる7事業部から実績や予算の数字、リーダーの戦略などを集め、統一感を持って表現する初めての試みに、企画・制作担当者のお二人は大変苦労されていたようです。人的資本のページでも、これまで集計したことのない指標を掲載するため、誌面に占めるボリューム以上の時間が掛かりました。

もちろん、未上場企業の統合報告書ですので、企業規模の面など、どうしても上場企業の統合報告書とは表現の仕方が異なるコンテンツもあります。

しかし、そこは統合報告書をはじめとするIR資料に豊富な実績と知見を持つインクデザイン。コンテンツごとに表現のアドバイスを行い、中期経営計画発表会スライドの制作では同社のある大阪へと赴き、このスライドを実際に使用されるプレゼンテーターである代表社員お二人に「このスライドを表示しながら話す内容」「実際の話すスピードやスライドに記載されていないトークの内容」などを詳しくヒアリングして、話者にとって無理の無いスライドへと仕上げていきました。

担当者のお二人と共に、特に気を遣ったのは「ネタバレ」の概念です。
経営計画発表会で初めて大体的に発表する内容が、事前配布される統合報告書や発表会の冒頭で流れるオープニングムービーで「ネタバレ」していては、せっかくの発表会が台無しです。

統合報告書、中期経営計画発表会スライド、発表会のオープニングムービーをまとめてお任せいただけたことで、「ムービーでは具体的な内容は触れず」「発表会で初めて詳細がわかる」など細かな調整をしながら、資料だけでなく発表会そのもののクオリティを上げるお手伝いができたものと自負しています。

完成した統合報告書は「圧倒的関西No.1になろう」というスローガンをはじめ、3年後の目標とする売上や企業規模(人数)、目指すべき平均年収などが掲載された力強い未来志向の資料でありながら、事業部ごとの詳細な実績・予算、男女賃金格差や離職率、昇給率まで網羅した、非常に真摯で透明性の高い資料でもある、まさに同グループの過去・現在・未来を全て確認できる仕上がりとなりました。

威勢の良いメッセージを発するだけ、理想をただ書くだけなら、誰にでもできる。
同社の統合報告書では、「15%ルール:私たちは就業時間の15%を学びの時間に充てることを会社のルールとしています」と記載した後に、実際に社員が学びのどの程度の時間を投下しているのか、データまで参照することができます。

書かれていることが単なるお題目ではなく、数字に裏打ちされた事実であることが、クライアントにも求職者にも、そして自社の従業員にも伝わる。

御堂筋税理士法人グループ様の「今」と「未来」をつなぐ、まさにインクデザインが得意とする「デザイン x 経営」のフィールドでのお手伝いが実現した事例です。

中小企業・未上場企業をターゲットとした新規サービス

最後に新規サービスのご紹介をさせてください。

御堂筋税理士法人グループ様と弊社・インクデザイン株式会社は、本事例を元に連携を深め、中小企業・未上場企業にこそ統合報告書や中期経営計画が重要であるという認識で一致しました。
※ここでの「中期経営計画」は計画そのもの、及び計画書類の双方を指しています。

元々はお仕事の発注元・クライアントと制作会社としての関わりでしたが、御堂筋税理士法人グループ内で経営コンサルティングを担う、新たに設立された御堂筋パートナーズ株式会社の提携パートナー企業として、御堂筋パートナーズ株式会社がコンサルティングを提供する売上高100億円を狙う中小企業・未上場企業に向けて統合報告書制作を請け負うことになりました。

御堂筋パートナーズ株式会社が確かな戦略やその実行計画を立案、IR資料制作の分野で高い専門性とデザイン力を持つ私たちインクデザインが、御社の価値創造プロセスや企業理念などをしっかりとビジュアル化することで、社外・社内・求職者のどこに出しても効果的な「成長期を迎えた企業のシン・会社概要」とでも言うべき統合報告書制作をしっかりとサポートさせていただきます。

新規サービスに関するお問い合わせはぜひ、御堂筋税理士法人グループ、または御堂筋パートナーズ株式会社まで。

既存原稿を元にしたIR資料やビジネススライドの制作をご検討の方は

統合報告書は制作プロセスが多岐に渡り、伴走期間も長くなるためお問い合わせからの御見積とさせていただきますが、より簡易な原稿提供によるIR資料制作や、所謂営業資料的なPowerPoint資料のデザインはオンラインでざっくり概算費用を算出できる価格シミュレーターをご用意しています。

お問い合わせ前に、ぜひこちらもご利用ください。

★制作費用の概算がわかる価格シミュレーターはこちら

(記事執筆・島 健)

社内の案件管理全部Notionに変えてみた<実装編>

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