2024年版:ざっくりわかりやすい。価値創造プロセス作成プロセス


昨今、価値創造プロセスは難解になってきて、これから作成を取り組むにあたり、何から手を付ければいいかわからない・・・という企業も多いと思います。
そんな企業に向けて、ざっくりですが、定義からレイアウト、デザインまで、作成のプロセスを公開したいと思います。
※あくまでも弊社独自のプロセスとノウハウなのでご了承ください。

価値創造プロセスはなぜわかりにくい?

今のところの見解としては
オクトパスモデルに加えて、ビジョンや価値観の表現が加わったから難解。

そもそもですが、もともとIIRCのフレームワークでは、いわゆるオクトパスモデルとして、資本を元に、ビジネスモデル、ガバナンス、アウトプット、アウトカムの定義が大筋でした。

それに加えて、「価値共創ガイダンス」の考え方が取り入れられるようになり、マテリアリティや長期ビジョンなどの価値観が加わることで、1枚で価値創造と持続可能性を表現するビジュアルが今の価値創造プロセス、もしくは価値創造ストーリーと言えます。

いまのところ、これに対する明確に指針などはなく、各社の解釈に委ねられることになります。
また、情報量を減らすのが最近の流れでありますので、各社の判断で情報を減らすことになり、価値創造プロセス図は本来のフレームワークから離れているのが、わかりにくさの要因と思われます。

引用:国際統合報告フレームワーク

引用:価値協創ガイダンス

他社事例から読み解く

では他社の事例を見て行きましょう。
日経統合報告書アワードのグランプリから引用します。

株式会社 コンコルディア・フィナンシャルグループ様
https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html

インプットからアクティビティ(企業活動)へ、そしてアウトカムに繋がります。
アクティビティ(企業活動)では、強みや営業エリアを明確にしつつ、マテリアリティの定義と中計の概略から基盤、理念までの会社の俯瞰図を読み解くことができます。
アウトカムではビジョンが主に語られており、それがマテリアリティ解決に繋がっていく意志が読み解けます。

東京応化工業株式会社様
https://www.tok.co.jp/ir/library/annual
まず、前提として、前のページでアウトプットをアウトカムの詳細は述べられています。
外部環境から、スタートして、資本をもとに取り組みや戦略を行っていく様子が見られます。
ゴールが持続的な価値向上に繋がっていますが、パーパスと紐付けるとより強固なストーリーになるかと感じました。

株式会社野村総合研究所
https://ir.nri.com/jp/ir/library/report.html

まず感じたのは、企業理念が上位概念として常に意志決定の要になっているのが伺えること。
その上で、利益を生み出すビジネスモデルとこれからの成長戦略が重なり、価値を創出していく様子がうかがえます。
あえて、インプット、アウトプット、アウトカムという単語を使っていないように感じますが、これも最近多くみられる傾向です。

さて、 ここまで3社読み解いてきましたが、各社見事にバラバラだと思います。
当然、その企業によって、企業文化や基盤、ビジネスモデルが違うので、バラバラでも当然ですが、ある程度、統一性がある方が投資家を始め、読み解く側にとっては利便性が高いのではと感じます。
それがフレームワーク思考です。

反面、情報が多く複雑になり、定性情報が増えてきた今、フレームワークでは表現しきれないというのが現状なのではないでしょうか。
そこで必要なのが「わかりやすく価値創造プロセスを伝える」と言う、デザイン思考ではないのかと考えます。

デザイン思考での価値創造プロセス作成プロセス

では、私たちで、価値創造プロセスを最初に作成する場合、どのようなプロセスを踏んでいるのか、ざっくりですが、解説したいと思います。

まずは要素を定義する

いきなり、デザインは無理なので、まずは企業の持つ要素を洗い出します。
ヒアリングやワークショップ、チェックシートなどを用いることが多くあります。
ここでは、そのチェックシートを抜粋して掲載します。
曖昧な設問や重複する設問もありますが、まずはこのような感じです。

【価値創造プロセスチェックシート】

大項目設問
価値創造プロセスを作成するにあたり作成する目的を教えてください。
伝えたいステークホルダーは?
※投資家、内部、採用、全てのステークホルダーなど
ステークホルダーに最も伝えたい事柄を教えてください。
価値観ミッション、ビジョン、バリューについて御説明ください。
具体的にはどのような状態が目指す姿でしょうか?
ミッション、ビジョン、バリューの関係を教えて下さい。
マテリアリティについて解説下さい。
マテリアリティの位置づけに関して、ミッションとの関連など教えてください。
マテリアリティ策定プロセスを教えてください。
各マテリアリティに対応する戦略は設定されていますか?
短・中期的な戦略との関係は?
企業として大切にしている価値観を教えてください。
サステナビリティに関する方針は策定されていますか?
長期ビジョン長期ビジョンは策定していますか?
長期ビジョンで成し遂げたい姿を教えてください。
長期ビジョンのKGI、KPIは
長期ビジョンを達成するために行っている戦略を教えてください。
長期ビジョンとマテリアリティの関係を教えてください。
ビジネスモデルビジネスモデルを教えて下さい
つよみについて教えて下さい。
競争優位性を教えてください。
バリューチェーンの定義はありますか?
中期経営計画(成長戦略)成長戦略について教えて下さい。
中期経営計画と長期ビジョンの関係は?
中期経営計画とマテリアリティの関係は?
中期経営計画のKGI、KPIは?
DXへの取り組みを教えてください。
人的資本への考え方、取り組みを教えてください。
研究開発に関する取り組みを教えてください。
アウトプットアウトプットの定義はありますか?
事業を通じて御社が得る価値はなんですか?
事業を通じてステークホルダーや社会が得る価値はなんですか?
アウトカム現時点でアウトカムの定義はありますか?
上記アウトカムはマテリアリティと関連しますか?
外部環境認識している外部環境、事業環境の変化はありますか?
認識している機会とリスクを教えて下さい。
認識している社会課題はございますか?
経営基盤事業を行う上での資本は定義されていますか?(製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本)また、それらの数字的根拠はございますか?
ガバナンス強化に向けて行っていること
ガバナンスとマテリアリティ、ミッションとの関係についてのお考えをお聞かせください。
ESGへの取り組みについて、方針や戦略、ミッション、マテリアリティとの関連をお聞かせください。

回答を元に仮でレイアウトする

要素が出そろえばあとはレイアウト。
チェックシートをもとに、必要な要素をパワポでもいいので、配置してみましょう。

いろんな考え方がありますが、ここでは、ざっくりわかりやすくがテーマなので
2パターンのレイアウトを提案します。
大きな考え方は「マテリアリティ」の捉え方です。
2つの方向性としてはマテリアリティが「原点」になるか「基盤」になるか。

ポイント

  • 長期ビジョンが価値創造プロセスに加わることで、時間軸の概念が加わります。時間軸である以上、左から右への表現が最もわかりやすいです。
  • 理念や行動指針は普遍的な価値観と捉えて、時間軸とは外れる基盤として表現します。
  • アウトプットは事業で創出する価値なので、KGIの定めがある中計などを結びつけると定量的でわかりやすいです。
  • ガバナンスやESGは経営基盤として常に下支えするものとして下部配置します。
  • アウトカムは創出する社会的な価値と捉えると、ビジョンに密接に結びつきます。

パターン1

マテリアリティを外部環境あ社会課題から起因する自社の重要課題とする、事業活動の「出発点」として捉えます。ストーリーとしては一本道なので、わかりやすいですが、アウトカムやビジョンがマテリアリティと結びつくかの表現が難しいので、デザイン的な表現が必要です。

パターン2

マテリアリティを基本となる価値観・経営基盤として捉える。
理念に基づく場合正しい表現かと思い、重要な価値観であることも伝わり、アウトカムやビジョンがマテリアリティの解決に繋がっていく様子も表現しやすいです。
ただ、マテリアリティは常に外部環境に対応して変化すべきでもあるので、揺るぎない価値観として捉えるには外部内部の理解も必要かと思います。

まずは、このような、マテリアリティをどう捉えるかでの2パターンを提示しました。
繰り返しになりますが、解釈の仕方は多様です。
ただ、価値創造プロセス図も「図解」である以上、感覚的なデザインではなく、ロジックやお作法がまずは必要なのではと思いますので、このようなパターンに当てはめてもらうと整理しやすいです。

最後のプロセス:デザインする、デザインを依頼する。

社内で概ねのレイアウトが整理できたら、後はデザイナーの仕事になります。
よりわかりやすく、より美しく仕上げるためには、デザイン会社等に依頼するのが良いかと思います。その際、「価値創造プロセスとは何か?」が理解できているようなデザイン会社に依頼するのが良いのではないでしょうか!!

価値創造プロセスのデザインや定義、コンサルティングなど、お困りでしたらぜひご相談ください。

とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア 2024/6/26発売

【2024年版】参考にしたい!価値創造プロセス図 まとめ

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