こんにちは、インクデザイン小西です。
みなさん、STAN.という家電のシリーズをご存知でしょうか?
WHAT’s STAN.シリーズ?


炊飯器やホットプレート、レンジやポット、加湿器など、生活に密着したラインナップのプロダクトです。シリーズカラーは黒と白だけ。一見するとただのおしゃれ家電かな、と流し見しかけるところ、チラリと佇むゾウさん。
そう、STAN.シリーズは、象印さんの家電プロダクトです。
これまで象印さんといえば“ZOJIRUSHI” の文字ロゴとゾウさんのセットのもので、誰もが見慣れてきたマークだったはずです。昔ながらの実用品・機能的なイメージがありますよね。
でもSTAN.シリーズでは、ゾウさんのアイコンだけ。 企業ロゴの扱いとしては異例ともいえる思い切りで、それが逆に広い世代からの評価につながっています。
弊社スタッフもその一人。社内MTGで、このシリーズを紹介してくれました。
このSTAN.シリーズの奥深さ、少し掘り下げてみたのでぜひお付き合いください。
最近気になったデザインMTG
弊社はほぼリモートの会社です。
業務以外ではスタッフ同士あまり関わらないかというとそうでもなく、「最近いいと思ったデザインについて」などの共有する時間をとったりします。
そこで出てきたのがこのSTAN.シリーズ。
STAN.シリーズは、「30代の共働き・子育て世代」という忙しい毎日を送る人々を意識して作られていて、余計な装飾をなくし、インテリアにも溶け込むようなデザインが採用されているプロダクト。
特にポイントなのは、やっぱりロゴ。
これまで製品に必ず入っていた「ZOJIRUSHI」の社名ロゴではなく、若い世代から「かわいい」「おしゃれ」と再評価された象のシンボルマークに変更されていて、これにより、新しい層へのアピールになっている…! 見た目が良いだけでなく、子育て世代の社員が中心となって、使いやすさや機能性を徹底的に検証したそう。デザイン性だけでなく、日々の生活で本当に役立つ実用性も兼ね備えている点が、このシリーズの魅力なのです…!
弊社デザイナーつっちーさんがこのプロダクトを紹介してくれました!
なんだこの可愛い家電は!このMTGのあと、メンバーも各自色々調べたはず。
写真はシリーズ愛用中のメンバーに撮ってもらいました!すでにハマっているメンバーもいたとは…!
調べてみた
ということで私も調べてみました。
STAN.シリーズのコンセプトは「暮らしになじむデザイン」。
象印さんの創業100周年を前に立ち上げられた新ブランドで、ライフスタイルの変化に寄り添う道具として設計されたプロダクトです。TENTさんという外部デザイナーとのコラボレーションをされていて、前例にとらわれない新しい象印さんの形が生まれました。
陶器のようにマットな質感、キッチンに馴染むマットブラックのボディ(企画当初はブラックのみ)、過剰な装飾を削ぎ落としたシンプルなフォルム。これまでの機能家電らしさを脱ぎ捨て、生活空間に自然と溶け込む「うつわのような佇まい」がコンセプトです。
ゾウさんの軌跡

このシリーズでは、従来の「ZOJIRUSHI」の文字ロゴをやめてゾウさんのシンボルマークのみを刻み、企業ロゴをあえて簡潔に記号化しています。
ゾウさんがロゴから消えていた時期も経て、「信頼感」「安心感」「やさしさ」といったソフトなイメージを発信していくため、2009年にゾウさんのアイコンが復活し現在に至り、このSTAN.シリーズに繋がってきました。
もともとゾウさんのアイコンだけを使っていたステンレスタンブラーもあり、今回のプロダクトも「うつわ」がコンセプトなので、ステンレスタンブラーに近い存在感であるべき、ということでゾウさんだけの記載に特別OKが出たのだそうです。そこから他の製品にもゾウさんのアイコンが使われるようになっています。
しかも、シリーズのレンジを買うと、ゾウさんのアイコンのオリジナルクッキー型抜きセットがついてくるんですって。可愛いです、かなり。
機能性の象印さん+デザイン
象印さんは魔法瓶を代表に「熱制御技術」に特化してるらしく、炊飯器、水筒、電気ポット、加湿器など「熱」に関わる家電が強いです。だからキッチン家電が得意なんですね。だからこそ従来の象印さんの製品は、どちらかというと「機能性最優先!」みたいな印象がありました。
最近はいろんなメーカーからおしゃれ家電がどんどんでていますよね。
機能を取るか、オシャレを取るか…(あと価格も…)
そんな家電戦国に、このSTAN.シリーズは
信頼の機能性×時代に即したオシャレさ×ユーザー目線の日本人の使いやすさ
を兼ね備え、満を持して登場しました。
シリーズに一貫して、お手入れのしやすさ、そしてキッチン家電として美味しさへの追求、痒いところに手が届く工夫の数々。炊飯器は内釜の水メモリの色が変わって見やすかったり、オシャレさを優先しつつもどの世代でも使いやすいように日本語表記であったり、ホットプレートの電源コードがちょっと長かったり、ポットやホットプレートの安全構造にも信頼が置けますよね。
象印さんは製品や技術力での安心感はかなりあるので、そこにビジュアルの良さも加わったらほぼ無敵なのでは…?ということになります。
キャッチもいいぜ、STAN.シリーズ
standby、standard、stance。ゾウさんのしっかりした足で立つstand。
これからのライフスタイルに沿うスタンダードの家電として、地に足がついている機能性、忙しい毎日にスタンバイしてくれる安心感、忙しい日々だけど普段の暮らしを少しだけ上質にするスタンス、そして象印さんの今までの100年を踏まえたこれから100年のスタンス…
総称してSTAN.。
感じ方はユーザーそれぞれで良くて、その膨らみというか、バッファを持たせているのもいいですよね。
ユーザーにとっての、私にとっての、象印さんにとっての、STAN.。
個人の時代となった今にまさにしっくりくるキャッチだなと感じます。
ストーリーをまとった家電
製品だけでなく、STAN.シリーズにはレシピや世界観をつくる写真やイラストなどのコンテンツも用意されています。単品のプロダクトではなく、生活の“時間”そのものをデザインしている印象を受けました。
STAN.シリーズは、ただの「可愛い家電」ではなく、「暮らしに寄り添い時間を共にする道具」
ブランド側の“ユーザーに寄り添う”という姿勢が、プロダクトの隅々にまで行き届いているのが分かります。そんな雰囲気が、シリーズ全部揃えたくなるようなファンを生むのでしょうね!
デザイナーから見たプロダクト
STAN.シリーズについて社内で紹介してくれたデザイナーのつっちーさん。まずは「ロゴの使い方が秀逸」と話してくれていました。
ゾウさんのアイコンだけを残すという判断は、デザイナー視点で見ると“ただの簡略化”ではなくブランドの役割を再定義するレベルの大胆さがあるそうです。
実際、文字ロゴを排しゾウさんのアイコンだけにしたことで視覚情報が整理され、ユーザーの目に止まり大きな評価を得、新鮮さを与えてくれています。ブランド表示としてもミニマルで、シリーズ全体の方向性と整合しているところに、デザイン判断の確かさを感じました。
つっちーさんは商業デザインにおいて、どこかで誰かがこのデザインを使うことを考えながら作り、「日常に置かれたときに邪魔をしない」「持ち主の生活リズムに寄り添う」という機能を満たしているデザインが“やさしいデザイン”であると言います。
それを聞いて改めてSTAN.を見ると、ロゴの扱いからフォルム、色、素材感まで「暮らしの中でどう見えるか」が徹底されていて、デザイナーから見ても評価が高い理由に納得しました。
デザインと生活
デザインは単なる“見た目”ではなく、生活のリズムや心地よさそのものをつくるもの。
STAN.シリーズは、象印さんの技術とユーザーへの共感と理解、時代に即した最適な象印らしさを創造していく覚悟がひとつにまとまり、生活に静かに効くデザインとはこういうものか、という気づきを与えてくれました。
日常の中にあるデザインの裏側を知ると、世界がもう少しだけ面白く見えますね!
そんな感覚をくれる家電、andつっちーさんでした。
気になった方はSTAN.シリーズ見てみてください〜!

















