ううん、、
あっ、社長起きました?
考え事している間に居眠りしてましたね。
あぁ、なんか夢見てたみたいだ、僕が老人になって、いろんな人に何か教えてた・・
はぁ、仕事中ですよね。
そんなことよりどうするんですか?この案件。
例のAIの企業のインパクトレポート。
あぁ、例の学生ながら起業した、マコト君の会社のか・・・ん。
どうしたんです社長、居眠りする前は、インパクトなんてどうしよう、わかんないって言っていましたけど・・
なんかわかるんだ、インパクトのことが、居眠りして起きたらわかるんだ!
へっ大丈夫ですか・・・・?
まぁ、それならそれで、これからどう進めればいいか教えてくださいよ。
わたしも初めてで、難しいんですよ。
ヤヨイは彼女の手元の資料を見つめた。
社長は頷き続ける。
インパクトレポートか?
新しい概念でもあるから、それは確かに難しいね。
しかし、これは僕たちデザイン会社にとっても大きな機会だよ。
インパクトレポートは、企業が社会的責任をどのように果たしているかを示す重要なレポートだから、僕たちのグラフィックデザインのスキルは、これを視覚的に表現するのに不可欠なんだよ。
社長すごいですね!
それはわかりますが、具体的にどのように取り組めばいいのでしょうか?
ヤヨイの驚きの声の裏には不安が隠れていた。
社長は彼女の前に座り、説明を始めた。
まず、インパクトレポートとは、企業が環境や社会に与える影響を報告するものだ。日本でも多くの企業が、このようなレポートを発行している。例えば、こんな企業が発行している。
・メルカリ
・丸井グループ
・アドレス
上場、非上場にかかわらず発行している会社が増えてきているな。
社長、いつの間に調べたんですか?
作成プロセスはどうすればいいんですか?
ヤヨイはメモを取り始めた。
いや、なんか勝手に頭に入ってきて・・・
作成プロセスはね、まずクライアントのビジョンと目標を理解することから始める。次に、その目標に対する彼らの活動と、それによって生じる具体的な成果を明確にする。このプロセスには、ロジックモデルの作成も含まれるんじゃ。
じゃ?
ロジックモデルとは何ですか?
ヤヨイは興味深く聞いた。
うむ。
ロジックモデルはね、プロジェクトやプログラムの目的、活動、成果、そして長期的な影響を示すツールだよ。
これを作ることで、インパクトレポートの構造がより明確になる。構成例としては、目標、関連する活動、そしてそれらがもたらす短期、中期、長期の成果が挙げられるぞ。
社長なんか話し方がじじくさくないですか?
ところで、デザイン会社として、このプロジェクトにどのように取り組むべきですか?
うん。なんか調子がへんじゃ、、だな。
ポイントは、情報を視覚的に魅力的かつ明確に伝えること。
グラフィック要素は、複雑なデータを分かりやすく表現するために重要だよ。
インフォグラフィックなど有効だと思う。
また、企業のブランドを反映させることも忘れてはいけない。
また、インパクトレポートの作成は、僕たちデザイン会社にとっても大きなインパクトになる。社会的責任と持続可能性に関わることで、僕たち自身のブランド価値を高めることができるからね。
なるほど、インパクトレポートの構成要素はどんなことが考えられますか?
ふむ。
このような要素があるといいんじゃないかな。
持続可能性の目標
企業が設定した環境保護や社会的責任に関する具体的な目標。
進捗状況と成果
これらの目標に対する進捗状況、達成された成果、取り組みの効果。
戦略と実践
目標を達成するための戦略や実施している具体的な活動。
課題と改善点
目標達成における課題、今後の改善のための計画や取り組み。
社会的および環境的影響
企業の活動が社会や環境に与えた正の影響、および可能な負の影響。
関連するデータと指標
環境影響、社会的貢献、従業員の福祉などに関する具体的なデータや指標。
私たちがよく作っている統合報告書とはなにが違います?
そうだな、難しいけど、
ステークホルダーに対して情報を開示するための重要なツールということでは同じだけど、その焦点と目的には明確な違いがあるぞ。
インパクトレポート:
焦点:
インパクトレポートは、企業の活動が社会や環境に与える影響(ポジティブおよびネガティブ)に特化している。これには、持続可能性の取り組み、社会的責任の活動、環境保護の努力などが含まれる。
目的:
このレポートは、企業が社会的および環境的な目標にどの程度貢献しているかを示すために使用される。社会的責任の透明性を高め、企業のイメージやブランド価値を強化することを目指すんだ。
統合レポート:
焦点:
統合レポートは、企業の財務情報と非財務情報(ESG:環境、社会、ガバナンス)を統合した形で提示するね。これには、企業の戦略、ビジネスモデル、リスク管理、将来の見通しなどが含まれる。
目的:
統合レポートの主な目的は、企業の持続可能性と長期的な価値創造能力に関する包括的な理解を提供すること。これにより、投資家やその他のステークホルダーが企業の全体的なパフォーマンスと将来の潜在能力を評価することができるんじゃ。
なるほど。ちょっと難しいですね。
それでは、これからの企業にとって、インパクトレポートはますます重要になっていくと思いますか?
ヤヨイは納得してうなずいた。
間違いないよ。持続可能性への関心が高まり続けているからね。
企業がその社会的責任をどのように果たしているかを示すことは、投資家や消費者にとっても重要。
ただし、他社のレポートを作成する際のリスクも考慮する必要がある。情報の正確性、専門知識の必要性、費用面などだね。
あとは大変だからやり遂げる気持ちがないと難しい。
今、私たちがやっている上場企業のIR分野とインパクトの関係についてはどう思いますか?
上場企業のIR活動においては、インパクトの情報が非常に重要だ。
持続可能性の問題は、企業のリスク管理や長期的な価値創造に直結しているからね。社会的、環境的なインパクトに関する透明な報告は、投資家との信頼関係を構築し、企業価値を高める上で不可欠だよ。
社長は一息つき、ヤヨイの目を見つめながら続けた。
我々デザイン会社は、このような重要なレポートを作成することで、社会的意識を高め、持続可能な未来に貢献しているんだ。
これは単なるデザイン作業以上のものだと確信している。
我々は、企業の社会的責任を世界に伝え、そのインパクトを形作る役割を担っている。これは非常に誇り高い仕事だと思うんだ!!
社長、どうしたんですか?
なんか変な夢でもみました?大丈夫ですか?
言葉と裏腹にヤヨイは感動していた。
彼女の仕事が、単にビジュアルを作成する以上の意味を持っていることを、深く理解した瞬間だった。
ヤヨイは自信を持って、社長に約束した。
わかりました、社長。
私、全力を尽くします。このインパクトレポートを、私たちのデザインで、素晴らしいものにします!!
社長はニコリと微笑みながらうなずいた。
オフィスの窓の外には公園が広がり、ベンチでは老人と、男の子と女の子が楽しそうに話している。
そのとき社長のパソコンには
「ジュン社長へデザインとビジネスについての講師就任の依頼 墨田大学より」
という件名のメールが届いていた。