※この記事はあくまでも代表鈴木の私感による考えです。
まずは結論。
私の考えるデザイン経営とは
「価値観を整理して見える化すること」
ちょっと抽象的ですね。これから順を追って話したいと思います。
「デザイン経営」とはなんだったのか?
「デザイン経営」
数年前に流行った言葉で、今、口にするとちょっとむずがゆさを感じます。
考えとしては、「経営にデザイン思考を取り入れて成長しよう」という考え。
しかし、この数年あまり耳にすることは少なくなりました。なぜ?
- 浸透した。
- 単に流行言葉だった。
- 他の言葉に置き換わった。
- 芯を食っていなくて経営層に受け入れられなかった。
など、考えられますが、私としては「芯を食っていなくて経営層に受け入れられなかった。」という仮説のもと、改めてインクデザインならではの「デザイン経営」を提唱できればと思います。
デザイン経営は芯を食っていなかった?
まず、僕は「デザイン経営」の考え方は素晴らしく、実践的であると思っています。
なので、芯を食っていなかったというより、多くの経営者は自分事にできなかったのではと考えます。
事例を見ても、新商品・新サービスに対して、デザイン性の高いプロダクトやビジュアルを用いた案件が多く、どちらかというと「新規事業の実装手法」としてデザイナーが関わる事例が多かった気がします。
※もちろんそうでない事例もありますが、ここではわかりやすいように強引に定義します。
例えばto B向けの製造業がto C 向けのプロダクトをデザイナーと一緒に開発するなど。
メディアやSNSでは上手くいった事例が多く露出するので、定番と捉えられがちですが、水面下では様々な理由で失敗した事例も多く聞きます。
また、to Bからto Cへの進出は、資金問題はもちろん、経営者の時間も取られ、本業ではない故に、成功も見えにくいので、「本業で売上と利益を増やす方が結局よいのでは?」と、勝ち筋として捉えにくいと思います。
勝ち筋として見えずに、経営者が趣味的にto C領域に踏み込んで、逆効果だったという話もよく聞きます。
単純に難解だった。
この短い文章に、 矛盾を含む言葉を入れこみましたが、実際にはそういうことだと思います。
「デザイン経営」にかかわらず、デザインに関わる資料や書籍、ドキュメントは抽象的で難しいです。
- 「デザイン経営」には理解するコストがかかる
- 経営者自体のデザインに対するセンスが問われる
- デザイナーってなんかこわそー
そんなハードルの高さがあったと思います。
戦略としての勝ち筋が見えずに、難解。
それでは自分ごととして捉えるのは難しかったのでは?
それが「デザイン経営」が浸透しなかった理由と仮定します。
これからの「デザイン経営」ってなに?
さて、ここからが本題。冒頭に述べた通りですが、
私の考えるこれからの「デザイン経営」を一言で言えば
「価値観を整理して見える化すること」
経営は見えないモノ。また、自分のことはわからないのが世の常なので、客観的な視点には常に価値が生まれます。
経営における見える化とは?
わかりやすいのは「数値」です。
- 予算・目標
- 損益計算書(PL)
- 貸借対照表(BS)
- 賃金台帳
これらはどの会社でも必要ですね。
また、税務申告の義務もあるので、税理士事務所などに依頼して決算書を作成します。
インクデザインでも、月次決算や日々の試算等の数字によるモニタリングを行っています。
数字になって見えることにより、引くか攻めるか、今何すべきか、今の課題は?
などが浮き彫りになってきて、経営における意志決定の判断材料になりますね。
経営において、今の状況やこれからが見えないと怖くないですか?数値以外も同じと考えます。
数値以外の見える化とは?
数値での見える化は、決算書などの法的書類もあり、ある程度ルール化されています。
PLやBSでどのような会社かがわかりますね。
数値以外は、いわゆる定性情報というものです。
しかし、やっかいなのが、この定性情報。
- 社長は何を考えているかわからない。
- 従業員は経営者の考えを理解してくれない。
- この会社がどこへ向かうか心配。
- なんの会社かわからない。
よく聞く話ですが、その多くが「価値観」です。
それらの定性情報=価値観の見える化が非常に困難。
逆説的にいうと、見える化されていないから価値観がブレる。
経営における重要課題は価値観の見える化
繰り返しですが、私の考える「デザイン経営」とは、
「価値観を整理して見える化すること」
と定義します。
企業理念や、ビジョンミッションバリューの策定のような話ですが、そこまで大がかりではなくてもよいかと。
- 経営者が今何考えているか?
- 何を課題としているか?
- 従業員は何をやりたいか?
- 何に困っているか?
そんなことを社内外にわかるように示すこと。
ここまで書いて、抽象的で難解になってきてしまいましたので、わかりやすくインクデザインでの例を紹介します。
インクデザインでの定性情報の見える化
インクデザインでも、春以降大きな変化があり、このままではチームが壊れてしまうかも?
という危機感を感じており、大きな変化、誰も置いてきぼりしないでカーブを曲がりきりたいという思いがあり、今一度思っていることを整理して日々伝えるようにしています。
インクデザインのパーパスです。「わかりやすく、おもしろく。」伝えることが価値だと定義していますので、「作業だけの案件はやめていくか」とか「ビジュアルだけじゃなくて文章もわかりやすさには大切だよね」とかの判断の基準になります。
この図は、来期に向けての現状の課題を図式したものです。ラフな図ですが、今の課題と今後の方向性を示すことができます。
この図は、社内向けた何が大切かを定義した図です。経営者として考えがブレそうな際にはこの図を見返します。
この図は来期の戦略を示した図。どこを狙って、何が必要なのかが一目でわかります。
経営におけるデザインはキレイにすることではない。
上記の当社パーパスは外向けに開示もしますので、見た目も整えていますが、下4枚は内部向けなので、見た目的にはかなりラフです。
が、わかりにくくはないと思いませんか?
それは「整理されていている」から明快になっているからです。
「デザイン経営」というと、どうしても「オシャレな新商品」「キレイで格好よくする」という印象が持たれがちですが、デザインが生み出す大きな価値は「整理」
デザイン経営は基盤強化
僕の考える「価値観を整理して見える化する」するというのは、勝ち筋ありきの戦略ではなく、経営基盤強化であり、全ての企業にとって必要です。
とはいえ、ビジョン・ミッション・バリューのような大がかりな取り組みではなく、「調子どう?」的な、もうちょっとライトなもの。
まずは今の課題や目標を整理して見える化することが、長い目線での「デザイン経営」に繋がるとおもいます。
では、見える化のためにはどうすればいい?
「何かを変えなければ!」という状態は必ず課題がある状態だと思います。
ファーストステップとしては、「何を変えるか」よりも「何が課題か?」を「見える化」するのをお勧めします。
対話が大切
そして、ここからは営業(笑
前述のとおり、自分のことは自分ではわからないもので、第三者の目線が必要。
そして、第三者との対話を通じて、経営者の思考は整理され、新たな気付きもあるはず。
なので、私たちは、まずは壁打ち相手になりたい。
なので、まずは気軽に「何に困っているかもわからないので、話聞いて」くらいの相談をいただければ、デザイナー的な思考で「それって、こういうことですかね」という対話ができればと思います。
そしてそんな対話の結果、価値観の見える化に繋がり、さらに伝達手段として
- 資料作成
- 会社案内
- ホームページ
- 経営計画
- パーパス、ビジョンミッションバリュー
等のアウトプットの必要があれば作成できればと思っています。
いままで、「これをつくりたい」という相談が多かったですが、
これからは「こんなことに困っている」という経営相談が多くなればと思っています。
また、デザインと経営の関係について、皆様と意見交換もできればと思います!!