最近「インベスターズガイド」制作の依頼が多くなってきました。
そこで、「インベスターズガイドの作り方ガイド」としてまとめたいと思います。
そもそもインベスターズガイドとは?
上場企業が投資家や株主に向けて発行する情報資料であり、ある程度包括的に企業の経営情報を掲載し、投資家に向けて、投資を検討してもらうためのマテリアルになります。
グロース市場の企業でしたら、「事業計画及び成長可能性に関する事項」資料が、包括的に経営情報と成長性を示す資料として存在しますが、プライム、スタンダード市場の企業であれば、そのような包括的な資料を開示していないことが多いです。
誰を対象にするか?
「インベスター」と名前の通りですが、主に投資家向けの資料になります。ただ、各社のを見ていると、比較的分かりやすくまとめられているものが多いと感じます。
- 機関投資家(ファンドマネージャー、アナリストなど)
- 個人投資家
- 株主(既存株主や潜在的な株主)
- 金融機関やメディア
他の資料や統合報告書との違い
ただ、それらプライム、スタンダード市場の企業は、統合報告書を発行している企業も少なくはなく、また、決算説明資料も四半期ごとに開示されています。
そして会社案内などもありますね。
それらの違いはなんなのでしょうか?
項目 | インベスターズガイド | 決算説明資料 | 統合報告書 | 会社案内 |
---|---|---|---|---|
目的 | 投資家への企業価値の訴求 | 業績報告 | 持続可能性と価値創造の説明 | 企業のイメージ向上・紹介 |
内容 | 財務情報、戦略、将来展望 | 財務データの詳細報告 | 財務+非財務(ESG情報) | 事業概要、ビジョン |
形式 | 包括的な資料(PDF/Web) | スライド形式(PDF) | 図表・写真中心のレポート(印刷物・PDF) | パンフレット・冊子・Web |
対象 | 投資家、アナリスト、株主 | 投資家、アナリスト | 投資家、ESG関心者 | 求職者、取引先、一般消費者 |
公開頻度 | 必要に応じて随時 | 四半期・年度ごと | 年次発行 | 随時 |
比較すると明確に違いますね。
また、これらの資料はそれぞれに相互関係があると思います。
会社によっては、「プチ統合報告書」とも言えますね。
逆に言えば、無理に時間とコストを掛けるよりもまずはインベスターズガイドの作成が効果的な場合もあると思います。
表現する時系列も違いますね。
どんな企業に必要?
基本的には全ての上場企業で作られるといいのでは?と思いますがそうもいかないと思います。
スタンダード、プライム市場の企業で、まだ統合報告書を作っていない企業、これから作る企業。
それらの企業は、包括的に経営を表現する開示物も少ないと思いますので、まずは、インベスターズガイドを作るのがよいかと思います。
何で作ればいい?パワポ?
パワーポイントでスライド型にて作るのをオススメします。
半期に一度程度改変し、開示するのが望ましいと思うのと、内容を編集して説明会や他の資料にも流用することができるメリットもあります。
このあとの作り方でも触れますが、他のパワーポイントで作った資料から、一部流用して作ることもできます。
どんな構成がいい?
統合報告書と違って、推奨されるフレームワークはありません。
なので、自由に作ることはできますが、故にその構成は迷ってしまうかもしれません。
下記に構成の一例を記しますので、参考にしていただけたらと思います。
表紙
- あくまでも投資家向けなのでシンプルな表紙で十分
Who we are
- 一枚で何をやっている会社を示す。
理念・パーパス
- 価値観や目指す姿、ビジョンなどを掲載。
会社概要
- 企業の沿革や概要、経営陣の紹介
セグメント情報
- 構成比率を含めたセグメント事業情報は、事業内容を伝える上で有効。
財務情報
- 売上高、利益、財務指標などの過去数年分の実績
- 将来の収益予測や計画
事業戦略
- 中期目標、中期経営計画
- 各事業分野の成長戦略や市場における競争優位性
- 新製品やサービスの開発計画
- セグメントごとの戦略・取り組み
財務戦略・人的資本・DX戦略
株主向け情報
- 配当政策や株主優待に関する情報
ESG情報
- 環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する取り組み
トップメッセージ
- CEOやCFOからのメッセージ、経営方針についてのコメント
業界動向と競争環境
- 市場のトレンドや業界の課題、競合他社との比較・ 優位性