近年、投資家とのコミュニケーションのツールや方法が洗練され、企業が発信するIR情報はますます充実してきました。その結果、それら多様なIR情報を整理してまとめることの重要性も増しています。中でも特に膨大な情報が集まるのが、「IRサイト」。インクデザインでもリニューアルのご相談が多い領域です。
「制作するIRツールが増えて、コンテンツとサイト構造の間に齟齬が起きている」「PDF置き場になっており、AIフレンドリーなIRサイトの構築ができていない」など、企業のIRサイトが抱える課題はさまざまです。
情報はただ掲載するだけではなく、わかりやすい形で発信し、伝わってこそ。今回はUI/UXを切り口に、各社のIRサイトから、リニューアルの際にヒントにしたいポイントをまとめて解説していきます。
※当社の実績ではございません。
※当サイトが提供する情報は証券投資の勧誘を意図するものではありません。当サイトを利用しての情報収集・投資判断は皆様の自己責任により行われますようお願い致します。
※デザイン・IR業界活性化のための研究目的として各社様資料を引用して分析しています。
導線のシンプル化
株価や最新の資料といった、即時性が大切な情報がファーストビューにあり、開いてすぐに閲覧できます!
また、特に見てほしい情報は写真付きで目立たせ、それ以外の情報はテキストのみリンク集にすることで情報に強弱をつけることで、迷わないシンプルなサイト設計になっています。
レスポンシブデザインの最適化
引用:三井物産株式会社
デバイスに応じて見やすい形に表示が最適化されています!
PCとタブレットは画像の上に株価情報を掲載する形になっていますが、Mobileでは株価は別途表で掲載する形に。視認性がきちんと担保されており、親切な設計です。
ファーストビューだけでなく、バナーやボタンまでPC表示・Mobile表示用の2種が用意してあり、どのデバイスからでも文字を読みやすくなっています。
グラフ・データのわかりやすい視覚化
引用:中外製薬株式会社

WEB上で財務項目を選択し見比べることができるグラフが便利です。PDFや紙ものではできない、WEBならではの機能を活かしたUI/UXでしょう。各項目の色でサイトのトーンを保ちながら、見やすさを確保しています。
PDFダウンロードの利便性向上
引用:住友林業株式会社

IRサイトはPDFをアーカイブする機能も重要!こちらのサイトでは、ただダウンロードボタンを羅列するのではなく、一括ダウンロードボタンを設置し、濃い色で目立つようにデザイン。数表やテキストだけでなく、統合報告書やサステナビリティレポートといった、非財務の情報についても認知を広げられるようにパッケージで提供しています。
直感的なナビゲーション

「迷わない」は正義!リンクボタンに、デザインされたサムネや具体的な内容を想起させるビジュアルがあり、一目でどういうページかわかります。欲しい情報にすぐアクセスしやすい設計です。
利用者に合わせた設計
引用:味の素株式会社

近年よく見るようになった個人投資家ページ。「共感」や「ストーリー」を重視したわかりやすいコンテンツが特徴です。決算短信や有価証券報告書、アナリスト向け説明会資料などの充実はもちろんのこと、一方でこのようなポップなデザイン/キャラクターでターゲットに合わせた見せ方をしています。
「見られる」IRサイトにリニューアルするために
見せ方、伝え方、情報の整理の仕方を変えるデザインの力で、IRサイトの利便性を大きく上げることができると私たちは考えています。最後に、サイト訪問者の満足度を上げるためのチェックポイントをまとめてみました。
情報が網羅されているか? 【 プラットフォーム化】
まずは、正しい情報が網羅されており、どんな媒体、どんな利用者でも閲覧できることが大切です。過去から最新までの資料が閲覧・DL可能であるようなIR情報のプラットフォームを目指しましょう。透明性をアピールでき、信頼性につながります。
日英の同時開示や適時開示の際には、CMSを導入することも効果的です。情報の更新が自社で完結することで、セキュリティ面の課題をクリアすることができます。
ただ情報を載せただけになっていないか? 【利便性の向上】
UI/UXの設計を通して「提供したい情報」と「受け取りやすい情報」の橋渡しをすることで、サイトの利便性を向上させることができます。
PDFの一括ダウンロードボタンを設置したり、特に重要なトピック(中期経営計画や統合報告書など)はLP形式にして掲載することでAIが情報をインプットしやすい設計にしたり、数表はExcelデータも掲載して投資家が分析に用いやすいようにしたりと、デザインの力と工夫が光るポイントです。
迷わないか?【ターゲットのニーズを把握】
情報量が豊富なサイトでは、わかりやすい導線の設計が不可欠です。
即時性の高い株価などの情報は上部へ、じっくり読み込むコンテンツは下部や下層へ位置させるなどシンプルな導線を心がけるほか、自社のキャラクターやアイコンを用いて直感的なナビゲーションを実現するなど、デザイン面で解決しているIRサイトもあります。
また、IRサイトのリニューアルに際して「個人投資家向けページ」を別コンテンツとして切り分けて制作する事例も増えてきました。迷わずに求めるコンテンツへ辿り着けることで、サイト訪問者の満足度が向上します。
他社のさまざまな工夫を参考にしながら、より高い透明性や幅広い取り組みを知ってもらえる「見られる」IRサイトへリニューアルし、アップデートを続けていきましょう。
IRサイトについては、下記記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください!






















