「抗菌印刷―“新しい生活様式”をともにする印刷」

新型コロナウイルスとの長期戦が予測される中での活躍間違いなしの抗菌紙についてまとめました。

株式会社グローバルインフォメーションによる市場調査レポート「抗菌包装の世界市場予測 2021年:プラスチック・バイオポリマー・板紙」 (MarketsandMarkets2016年発行)は、世界の抗菌包装市場は2021年までに100億米ドルに達すると予測しています。

当時はこの高い成長率が消費者の食物廃棄への関心の高まりと関係していましたが、コロナ禍を経ることで、抗菌製品の需要は試算を上回ると考えられます。

「新しい生活様式」を支える、抗菌紙とはどのようなものなのか調べてみました。

抗菌紙とは

抗菌紙とは細菌の繁殖を抑制する効果が認められた紙のことです。しかし、「抗菌」という言葉は、定義が統一されておらず、製品を取り扱う業界によって意味にばらつきがあります。

そこで注目したいのがS I A A(抗菌製品技術協議会)マークです。
S I A A(抗菌製品技術協議会)は消費者や専門家、行政などから幅広く意見を聞きながら抗菌に関する安全性やルールを整備している団体です。
https://www.kohkin.net/index.html

S I A Aマークを持つ製品は、抗菌性・安全性・性能の適正な表示がされていることが保証されているため抗菌製品を選ぶための大きな基準になります。皮膚への刺激性やアレルギー検査などの基準も満たしているので、特に人の肌に触れやすい紙製品は、S I A Aマークの表示があるものを選ぶと安心です。

抗菌紙は製造方法によって大きく二つに分類することができます。

1.抗菌板紙

抄紙時に抗菌剤を練り込むことで、原紙本体に抗菌機能を持たせています。厚さ・価格ともに中間帯に位置しています。

<メリット>
・無地での利用が可能
・表面の印刷に影響しない

2.抗菌印刷

印刷面の上から抗菌効果のある塗料をコーティングする表面加工です。表面の抗菌塗料が剥がれない限り、長期間抗菌効果が持続します。
印刷面の上から抗菌剤の入ったニスを塗るため、光沢が増すという特徴があります。ビニール引加工・P P加工をすると抗菌効果がなくなるので併用できません。

<メリット>
・オフセット印刷・ブラビア印刷・スクリーン印刷などに幅広く対応
・薄紙・厚紙・合成紙ほか、クリアファイルや靴の中敷など、素材を選ばずに利用可能
・汚れや摩擦に強い
・耐光性が高まる
・抄紙時に抗菌剤を混ぜる方法よりもコストを抑えられる
・防臭・防虫・防カビ効果がある

この二種類の抗菌紙を取り入れる具体例をまとめました。

パッケージの外側:
商品デザインの印刷があるので抗菌印刷を使用する。塗料によって表面が強化される。

パッケージの内側:
抗菌板紙を使用する。印刷がない部分には抗菌板紙を使用することで追加コストなしに抗菌性を持たせることができる。

このように、二種類の抗菌紙の強みとコスト面を合わせて考えていくことで、より効果的に活用していくことができます。

食品がパッケージに直に触れるのは基本的には厳禁なので、抗菌紙でない場合はナイロン袋などで内側を包装してからパッキングしています。

抗菌紙を利用することで、これまで二重にかかっていたコストが削減できる上に、見た目の美しさも損なうことなく包装できるのです。

抗菌紙の用途

以前は医療や医薬品を取り扱う現場や食品の放送に使われてきた抗菌紙ですが、これからはさらに幅広い需要が見込まれます。

書籍・販促品・美容・理容・化粧品などの身近な分野での応用も広まるでしょう。

箸袋やランチョンマット、ブックカバーなどの日用品のほか、多くの人の手に触れる名刺紙やパンフレットなど、ビジネスシーンでも目にする機会も増えていくと思います。

一方で、抗菌紙の広まりとともに、今よりも環境への負荷を考慮した製品が求められていきます。
紙製品は抄紙時に薬品処理がされるので、基本的には再生紙を利用したものと100%未使用パルプで作られた製品との清潔度には差がありません。再生紙だからと言って菌が多いというわけではないのです。
これからは再生可能な原料を使った抗菌紙が“新しい生活様式”の基本を支えていくのでは?と思います。

また、今回ご紹介した製品は100%感染のリスクを防げるというわけではありません。
基本的な感染対策に加えて、コロナウイルスと共生していくための新しいツールとして抗菌紙に今後も注目していきたいと思います。

インクデザインでも今後のデザイン提案等で、紙のあり方を考える際に、抗菌用紙は一つの選択肢になりそうです。
パートナーの印刷会社様でも取扱のありますので、ぜひご相談ください。

(むつき)