ざっくりわかる「長期ビジョン」

AIに関わる上場企業のCEOであるマコト。
マコトは、これからの未来について深く考え込んでいた。
彼の会社は成長する市場での地位を確立していたが、長期的な成功への道筋はまだはっきりとしていなかった。
そこで、彼は有識者であり恩師でもあるジュン博士に相談することにした。

マコトの招きに、オフィスを訪れるジュン博士。
ジュン博士はゆっくりとマコトからの相談を受け始めた。

博士、企業の長期ビジョンについて、どう思いますか?当社でもこれからの成長に必要でしょうか?

うむ。
長期ビジョンは、企業が将来どのような存在になりたいかを示す指針だよ。
これは大きな方向性を示し、組織の意思決定の基準となるものであり、従業員のモチベーションも高める。
外部のステークホルダーに対しては、目指す未来像を伝え、信頼性の向上に繋がるものだよ。
これから、君の会社が目指すステージでは必要だと思うな。

マコトは頷き、続ける。

投資家や株主目線でも、長期ビジョンは重要なのでしょうか?

そうじゃな。
投資家は、企業の長期ビジョンを通じて、成長可能性や戦略の方向性を評価する。
明確なビジョンは、投資家にとって、企業が将来にわたって成功するための計画があることだから、投資対象としての魅力を高めるんだ。

なるほど。そうですね。
長期ビジョンにはやっぱり具体性や数値目標が必要ですか?

もちろんだ。
具体性と数値目標は非常に重要だ。
具体性を持たせることにより、そのビジョンが実現可能で測定可能になり、進捗を提示すことができ、明確に評価できる。
目標を達成するための道筋がはっきりとするんだ。

マコトはぐっと目に力を入れて頷く。

長期ビジョンと言っても、具体的に何年先のことを指すのでしょうか?

その企業によってその定義は異なるが、長期ビジョンは、10年以上先を見据えることが多いかな。
しかし、業界や市場の変化に応じて、その期間は異なる。
重要なのは、将来への明確な目標と方向性を設定することだ。
2030年や2050年、100周年など区切りのいい数字を目標にすることも多いな。

長期ビジョンと持続可能性はどのように関連していますか?

よい質問だ。
持続可能性は、長期ビジョンの核心部分とも言える。
社会的、環境的課題への対応は、企業が長期にわたって成長するために不可欠。
例えばSDGsに沿ったビジョンは、企業が社会的な価値と経済的な価値の両方を生み出すための基盤を提供すると思うな。
持続可能性と経済的成長の両立により、企業は新しい市場機会を探求し、リスクを管理し、イノベーションを促進することができるのだ。

博士は一息ついて、ジャスミン茶の入ったカップに手を伸ばす。

実際に長期ビジョンの策定に手を付けようかと思いますが、どのようなプロセスが必要でしょうか?

うむ。
まずは市場分析、ステークホルダーのニーズの理解、内部の課題抽出という現状分析。
そして、ミッションやビジョンという価値観の明確化。
戦略目標の設定、アクションプランの開発、実装。
そしてそれらを評価するKPIやKGIの設定も重要だ。
やることは沢山あるが、このプロセスを通じて、企業は長期ビジョンを具体的な行動に変換し、ステップバイステップで目標に近づくことができるんだ。

マコトは強く博士の目を見る。

博士。心配事もあります。長期ビジョンは単なるスローガンになりがちではないですか?

確かにそのリスクはある。
しかし、ビジョンが組織全体の具体的な行動と結びついていれば、それはスローガン以上のものになる。
重要なのは、ビジョンを実現するための明確な戦略と具体的なアクションプランを持ち、組織内に浸透させることだ。

長期ビジョン、パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー、マテリアリティなど、定性的な概念が多すぎて混乱しがちです。
何が軸になるべきでしょうか?

そうだな。その傾向になることも少なくはない。
その場合、パーパスが最も核となる概念であり、企業の行動の基盤を形成するべきだろうな。
しっかりとしたパーパスを策定し、それに基づいてビジョン、ミッション、バリューを定義し、それを実行する戦略とアクションに落とし込むことが重要だ。
これにより、一貫性のある方向性と動機付けが実現され、企業は持続可能な成長を達成できる。

パーパスは企業が存在する根本的な理由を示し、長期ビジョンはそのパーパスを実現するために企業がどこに到達したいかを示すものなんだ。

パーパスはビジョン、ミッション、バリュー、そして戦略の基盤となるべきだな。
これも腹落ちするまで、経営陣で議論するべきだろう。

マコトは深く頷き、その目は希望に満ちていた。

博士はその目の輝きを確かめて、マコトのオフィスを後にした。

ジュン博士との対話を経て、マコトは会社の未来への道を新たに見据えた。
長期ビジョンの重要性を胸に、彼は経営チームと共に、パーパスを再確認し、それを具体化するビジョンと行動計画を共有することにした。
彼らの決意は固く、社会に対して真の価値を提供するという共通の目標に向かって、一丸となって進むことを誓う。

ブランディングの仕事をやらないというデザイン会社

 2024年1月〜3月上場分の「事業計画及び成長可能性に関する事項」を読んでみた。

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