【SDGs】カルチャーは死なない

音楽編

2020年2月26日 音楽業界は自粛を決定。
当分の間はライブなどの音楽イベントを実施しない体制をとりました。
規模の大小かかわらずほとんどのイベントやライブの延期、中止のお知らせがSNSのタイムラインに並び、3密の場とされるコンサート会場やライブハウスに人が立ち入れられなくなり、
先の見えない未来に誰もが不安な気持ちを抱えました。

9月現在、
イベントやライブが中止になったことで給料がなくなったスタッフ、
閉店さぜるを得なくなったコンサート会場やライブハウス、
そもそも音楽文化そのものに沢山の議題があったことが浮き彫りになってきました。
そんな中、状況が悪化していくと共に
ピンチをチャンスに。業界全体がこの状況だからこそ立ち上がろうという姿勢が見えました。

いままで

2020年はサブスクとライブでの「黄金期」が再来されると噂されていました。
かつて黄金期を築いたCDなどの音楽ソフト市場。
しかし今はCDよりも、利便性が高いサブスクや配信ダウンロードを利用する人が多いというのは有名な話ですね。


1998年をピークにCDなど音楽ソフト市場は下降の一途をたどり、現在は3分の1近くまでに縮小しています。
2001年にアップルの「iTunes」が登場し、世界的な音楽マーケットの流れを見てもCD販売のみをするビジネスはなくなっていくだろうとされ、実際に現在欧米ではCDショップが皆無、ヨーロッパでは音楽業界の85パーセントの収入がサブスクです。
そんな中、日本では渋谷にも新宿にもショップがありCDを売るという局面がありますが、このようにCDを扱っているのは日本くらいだと言われています。

同時進行で、
1997年に「フジロックフェスティバル」の第一回が開催され、
1999年に「ライジングサンロックフェスティバル」、
2000年に「サマーソニック」と「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」も初開催、4大ロックフェスが揃い、その後の音楽フェス市場は右肩上がり、「夏といえば音楽フェス」という文化が根付きました。

そして、
2015年に国内では音楽ソフトとライブの市場規模が逆転し、音楽業界の主役が入れ替わりました。
2019年に音楽コンサート市場は過去最高売上を記録し、オリンピックやパラリンピック開催を控える2020年にはさらなる成長が見込まれていました。

いまとこれから

今、音楽業界はどうしているのか。
特にライブシーンは配信ライブが主流になりつつあります。
主に緊急事態宣言以降に延期、中止になった公演が配信ライブに切り替わり、会場にはマスクを着用したスタッフと共にライブが行われ、またアーカイブで1週間程その配信ライブを見れるようになっています。

忘れてはいけないのが、音楽業界というのは日の当たるところばかりではないということ。
メディアで見かけるアーティストやライブハウスは比較的多くの人に認知されていますが、音楽業界の根っこを支えているのは、舞台設営、音響、照明、カメラ、美術スタッフなど、演者に光を当てている人々です。
特殊な技術を求められるこの業界はフリーランスが多く、イベントがゼロになれば、収入もゼロとなります。


そんな中、国からの補償以外にライブエンターテインメント産業の従事者を支援するための基金を募る「Music Cross Aid」が日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会の3つの団体によって立ち上がりました。

配信ライブはアーティストによって様々な演出が考えられています。
自宅から、スタジオから、観客を入れないライブハウスなどの会場から、など
また無観客が前提ならば、大自然の中だったりビルの屋上だったり意外な場所からライブが出きたら面白そうですよね。

実際に過去にFKJ(フランス人アーティスト)がボリビアのウユニ塩湖の上でライブをしていました。

8月にバンドのサカナクションが行なった配信ライブ「SAKANAQUARIUM 光」ではライブ×ミュージックビデオというコンセプトを掲げ、一本の映画を見ているかのような壮大で今までにない体験をさせてくれました。

当日のレポート(クリックで飛べます)

他にもオンラインライブ限定のグッズを販売したり、アフタートークなど公演後のリアルな声が聞けたりお家でも楽しめるように様々な工夫がされています。

今までのフィジカルなライブシーンから一転、
歯がゆさがありながらもあらゆる可能性あることに挑戦し、そして配信ライブは以前のようなライブとは別物であると演者側も、視聴者側も肌で感じられたと思います。
前例がない状況ゆえに、何が正しいかという答えのない状況を逆手に取って、面白いことをしてやろうという意識が伝わってきます。

また、8/29、30には観客を入れての野外フェスRUSH BALLが行われました。
国の定めるイベントの上限人数5000人を迎え、感染対策の徹底を促すガイドラインを設け当日を迎えました。
当日は「大阪コロナ追跡システム」の利用を必須とし、大声での声援禁止、消毒の徹底など来場者も出演者もスタッフも、その場にいた皆さんで協力し、無事終えることができたそうです。
また、コロナ禍において観客を入れての野外フェスは世界初とも言われています。
この一件で多くの人が勇気づけらたのではないでしょうか。

音楽と暮らしについて

特別関心がなくても、あらゆる生活の場所で音楽を耳にします。
ショッピングモールの店内BGM。ネットサーフィン中に予期せぬCMで。テレビからふと流れてきたり。
無意識のうちに聞いて、無意識のうちに脳が記憶して、夕飯を作りながら口ずさんだりすることもあるのです。
仕事の帰り道で聞いて、開放的な気分になれたり、明日も頑張ろうって思えたりするのです。

人間が元気に健康に生きていくのにもこれからも必要な存在と言えます。

揚げ足を取るような表現になってしまうかもしれませんが、ライブに行くことがたとえ「不急」であっても「不要」なことではないと思うのです。

社会と音楽、ってなんだか距離の遠いことのように感じる人もいるかもしれません。
いつかコロナ禍が収まってライブやフェスを再開できるという時が来たとき、それらを実際に動かすことのできる専門職の人が業界から去っていたら、再開自体が不可能ともいえます。
音楽そのものではなく、その経済構造に注目することが大事なことと思います。

人の心が豊かになるというのは、明日を生きるエネルギーが養われるということ。音楽に限らず、芸術やエンターテインメントの文化というのは社会を未来創造するために必要な存在です。

SDGsの観点から、
業界の経済格差から「1.貧困を無くそう
人々の心の健康や感性を養う「8.すべての人に健康と福祉を
そして芸術やエンターテイメントを創る側と、
それらを受け取る側どちらも公正であるべき「16.平和と公正をすべての人に
これらが深く関わってくるでしょう。

コロナ禍によって業界全体が低空飛行している今、このような状況から奮い立つ人々の活動を見て、背中を押された気になり、この活動をもっといろんな人に知ってもらいたい。という思いから書き始めました。カルチャーは愛する人がいる限りは死んだりはしない、そう思いました。

(小関)