
インクデザインでは、決算資料や中期経営計画資料などの他にも、定量情報・定性情報の両方を扱う、サステナビリティレポートやCSR報告書、統合報告書などを多数手掛けています。
特に最近では、インパクトレポートやサステナビリティレポートなど、企業活動が社会にどのような好影響を与えているかという側面を伝えるためのツールのお問い合わせも多くいただいています。
これからインパクトレポートを作ってみたいという方、インパクトレポートに興味を持たれた方のために、今回は「ざっくりわかる!セオリー・オブ・チェンジ(TOC:Theory of Change)」として、インパクトレポートで用いられる重要な概念について解説していきます!
引用:
・ミダス財団様
・PwC財団様
・東京ウェルネスインパクトファンド様
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TOC(Theory of Change:セオリー・オブ・チェンジ)とは?

TOC(Theory of Change:セオリー・オブ・チェンジ)とは、一言でいうと「私たちの活動が、なぜ社会に良い変化をもたらすのか?」という問いに答えるためのツールです。
単なる活動実績の報告ではなく、因果関係のストーリーを体系的にまとめることで、私たちが目指す最終的なゴールと、そこに至るまでの道筋を明確にするための理論です。
3. TOCはどうやって検討すればいいの?
具体的にTOCを構築している基本的な考え方をロジックモデルといいます。
ロジックモデルは、TOCという概念を、視覚的かつ論理的なフレームワークに落とし込んだもので、以下の要素を「もし〜ならば、〜だろう」という論理でつなぎます。

ロジックモデルは、以下の5つの要素を「もし〜ならば、〜だろう」という論理でつなぎます。
- インプット
活動に投入する資源 - 活動
資源を使って行う具体的な行動 - アウトプット
活動の直接的な結果アウトカム
活動によって生じる短期・中期的な変化 - インパクト
最終的に目指す長期的な社会的変化
事例イメージ
TOCをまとめた図の例を作成しました。
インパクトレポートなどの資料では、このように図式化されて公開されることも多いです。

※ 研究を目的とした仮想の図であり、実在の企業・団体とは関係ありません。
他者事例のご紹介

事業を通じて解決を目指す社会課題を一つ取り上げ、具体的な例を示すことで読者が想像しやすくしています。
インパクトを生み出すためのアクションをキャッチコピーのように端的に示し、未来への志向感が伝わるビジュアルに仕上がっています。

財団のみならず、同じ志をもつ協力団体との共創を通じて、エコシステムの形成を目指している(黄色囲み部分)ことを示しています。
ToCはインパクトを生み出すまでの道筋やロジックを示すという基本的な役割に加えて、目指す世界を示す軸としても有効です。

社会課題のみならず、社会課題が解決されないとどうなるか(Theory of Problem:T OP)を記載することで、アクティビティの社会的意義が訴求しやすくなっています。
アウトカムを初期・中期と区切ることでToCまでの道のりが明確化され信頼性の高いレポートになっています。
TOCとロジックツリー、どう違う?
TOCとロジックツリーは、どちらも論理的な思考を整理するツールですが、目的と構造が根本的に異なります。TOCは活動と成果の因果関係を説明する物語であり、ロジックツリーは複雑な問題の分解に特化したツールです。

もう浸透している?
TOCは特定の分野では事実上の標準となっています。

1. 公的機関や財団による必須要件化
多くの政府機関や財団が、助成金の申請要件としてToCの提出を義務付けています。これにより、TOCはプロジェクトの有効性を証明するための共通言語となっています。
2. インパクト投資分野での定着
ソーシャルインパクト投資の分野では、資金提供者が投資先の社会的効果を測るためにTOCを重視しています。
- GIINの「IRIS+」などのフレームワークは、TOCを基盤として、投資家がインパクトを評価・比較するためのツールを提供しています。
3. NPOや社会的企業の増加
NPOや社会的企業は、活動の透明性と説明責任を強く求められます。TOCは組織の戦略策定、評価、そして外部とのコミュニケーションに不可欠なツールとして、広く利用されています。
どうあるべきか?
TOCは単なる内部文書ではなく、外部とコミュニケーションするためのツールです。
効果的なTOCの開示ポイントをまとめました。
- シンプルさと明瞭性
専門用語を避け、誰にでも理解できる言葉で説明します。
ロジックモデルを図やイラストで示すことで、直感的に伝わりやすくなります。 - 透明性と正直さ
成功した点だけでなく、仮説がうまくいかなかった点や、予期せぬ課題についても正直に開示することで信頼性を高めます。 - 測定可能な目標設定
各段階(アウトプットやアウトカム)に、具体的な測定指標を紐づけることで、TOCが単なる理想論ではなく、検証可能な計画であることを示します。
TOCの考えに則り目指す世界を体系的に整理することで説得力のあるレポートが可能です!
さらにビジュアル化の工夫を加えることで、難解な関係性もわかりやすく整理できるでしょう。
