個人投資家向けの「わかりやすい」資料が求められています
東京証券取引所が2025年7月に発表した統計によれば、新NISAなどの浸透もあり、個人株主数は10年連続で過去最高を更新しています。
こうした機運の高まりもあり、IR資料のデザイン・コンサルティングを専門に手がける私たちインクデザイン株式会社にも、近年は個人投資家向け資料や施策のご相談が多く寄せられるようになりました。
Webサイトに親しみやすくわかりやすい「個人投資家向けコンテンツ」を新設したい、PowerPointで作成した既存の中期経営計画資料などを「個人投資家向け資料」として再構成・リデザインして欲しい、「個人投資家向けIRイベントで配布するパンフレット」を作りたい…など、内容はさまざまです。
共通しているのは、自社の特徴や財務情報を少しでも「わかりやすく、おもしろく。」個人投資家に伝えたい、というお客様の希望です。

今回は、そんな需要が急増する個人投資家向けコンテンツの中から、「個人投資家向けIRセミナーに登壇する際のプレゼンテーション資料のデザイン・作成支援」を担当させていただきましたので、事例としてご紹介したいと思います。
読む資料とプレゼン資料の違いとは
通常のIR資料作成としてご相談を受ける場合、私たちはお客様からパワポでお預かりした資料の原稿を構成や文言の見直し、図などの表現の見直しなど、大きく作り変えてご提案することが珍しくありません。しかし、今回のIRセミナー登壇資料では、構成はほぼご提供資料そのままで、主にデザイン面のブラッシュアップに注力しました。
これは、お客様からお預かりした資料の構成がしっかりとまとまっており、お客様から特段構成の見直しに対するご要望が無かった、というのもありますが、本件が登壇資料であることが大きな理由です。
同じPowerPointで作成されていても、決算資料や私たちがこのフォーマットでの作成を得意とする統合報告書は「読む資料」、今回のIRセミナー登壇資料は「プレゼンテーション資料」という違いがあります。
資料として完結しており、読み手が理解しやすい構成や同様の資料に良く掲載されている要素と情報を揃えることが重要な「読む資料」とは異なり、「プレゼンテーション資料」はあくまでプレゼンテーションを補完する存在。登壇する話者の使い勝手がすべてです。私たちがどれだけ理想的な構成を組み上げても、登壇者がその順番で話しづらい資料では意味がありません。
今回の登壇資料でも、①お客様から原稿をお預かりする→②弊社でデザインや表現をブラッシュアップした初稿を提出する→③お客様からのフィードバック/修正指示→④修正・納品という工程の②と③の間で、しっかりと時間をかけてご検討いただいた上で、細かい調整が入りました。
実際に登壇されるクライアント社内のご担当者が、弊社提出の初稿を元に登壇・発表のシミュレーションを積まれた上での③であったと推察します。ご自作される場合は言わずもがなですが、PowerPoint資料のデザインや作成支援に外部の協力を仰ぐ場合でも、しっかりと「資料を元にプレゼンテーションを磨く/検証する」工程を持つことが大切です。
会場の個人投資家との接点をしっかりと訴求、わかりやすく
それでは、実際の登壇資料を一部ご紹介します。

「九州で開催される個人投資家向けIRセミナーに登壇するにあたってのプレゼンテーション資料」がご依頼内容だったのですが、実はクライアントである若築建設様は北九州若松港の築造・経営のために創業された企業であり、社名に登壇場所との深いつながりが含まれていました。
この、いわばプレゼンの「つかみ」とも言うべき来場者との縁についての記述は、当初「沿革」というスライドのごく一部として配置されていましたが、単独スライドになり、徐々に前へ出て、最終的には表紙として採用されることになりました。
この構成を決定されたのは、あくまで登壇者であるクライアントのご担当者様ですが、登壇者のシミュレーションに基づいて柔軟かつ細かく修正対応を行うのが大切であるのは、前述の通りです。

創業当時、100年以上前の九州を想起させるセピア色の画像から一転、目次やガイダンス箇所はポップなデザインに仕上げています。
「海のゼネコン」であるマリコンの大手として知られる若築建設様ですが、資料は若築建設やマリコンについてあまりご存知ない方でも興味を惹くよう、ポップな内容を心がけました。


この構成で大きな役割を果たしてくれたのが、若築建設様のマスコットキャラクターです。
元々資料の後半に位置していたキャラクター紹介を前半に置いて、プレゼンテーション全体のナビゲーターとして各所に散りばめることで、資料に掲載された情報はしっかりと見せつつ、トーンや語り口を柔らかくすることができました。
IRセミナー終了後に改めて若築建設様のホームページを閲覧されたセミナー参加者の方は、「水陸両用のカモノハシをモチーフにしたキャラクターに、海洋土木から始まって陸へと活動の場を広げていった若築建設の姿を重ねている」といった説明や、インパクトのある企業イメージCMを親しみを持ってご覧になることでしょう。
無事にIRセミナーの登壇を終えたご担当者様からも、「資料が見やすく、わかりやすくなった」「視認性の重要性を感じました」とうれしいお言葉をいただきました。
個人投資家向けコンテンツでも、Webサイトや印刷物、読み物にプレゼンテーション資料にと、ツールごとに最適な作成支援の形を持つインクデザインに、ぜひ御社における個人投資家とのコミュニケーション構築をご相談ください。
制作物 | 個人投資家向け資料(IRセミナー登壇資料) |
依頼回数 | 過去にIR資料ご依頼実績あり |
使用ツール | PowerPoint |
制作 | インクデザイン株式会社 |
弊社担当範囲 | デザイン/構成提案 |
制作期間 | 約1か月 |
座組 | プランナー1名・エディター1名・デザイナー2名 |
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(記事執筆・島 健)