こんにちは、インクデザインのなつみです。
今年も干からびそうなくらい暑かったのに、嘘のように涼しくなりましたね。
既に肌寒くて冬の訪れに怯える今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
さてさて、本記事の内容はこちら。
インクデザインのお仕事は「PowerPointを用いたスライド作成がメイン」って印象をお持ちの方、多いと思います。
でも、少し前まではWebサイト制作・運用の方が多かったんです!
かくいう私も、Webサイト制作・運用を主に担当しています。
インクデザインが長けているのはコーポレートサイト、中でもIRサイトの制作。
Webサイト制作において、クライアントよりご支給いただいた原稿を元にデザインしていくことが多いのですが、今回はとある企業の個人投資家向けのページリニューアルを、構成案の作成からお任せいただくこととなりました。
この機会に調べた、個人的に「これはわかりやすいな〜!」と思った個人投資家向けページをご紹介いたします!
※当社の実績ではございません。
※当サイトが提供する情報は証券投資の勧誘を意図するものではありません。当サイトを利用しての情報収集・投資判断は皆様の自己責任により行われますようお願い致します。
※デザイン・IR業界活性化のための研究目的として各社様サイトを引用して分析しています。
そもそも個人投資家向けのページって何?
今回私が調べたのは「個人投資家の皆さまへ」というタイトルで公開されているページです。
「個人投資家の皆さまへ」ページとは、一言でまとめるなら「企業の理念・成長性・信頼性を、投資初心者にもわかりやすく伝える“会社の紹介ページ」のこと。AIに尋ねた詳細はこちらです。
「個人投資家の皆さまへ」ページとは
企業と株式投資を検討・実施している個人投資家をつなぐために作られたページのこと。
目的
企業の財務情報や経営方針を、専門知識がなくても理解できる形で説明することが目的です。
証券会社や機関投資家向けの専門的なIR情報とは違い、「これから投資してみようかな」「会社のことをもっと知りたい」という人向けにやさしくまとめられています。
主な閲覧者(ターゲット)
- 個人の株式投資家(長期保有や優待狙いの人など)
- 投資初心者(「株を買う前に会社を知りたい」人)
- 就活生や一般のファン(企業理解目的)
掲載される主な情報
企業によって多少異なりますが、よくある構成は以下のようなものです。
- トップメッセージ
- 事業内容の紹介
- 経営理念・ビジョン
- 業績ハイライト
- 株式情報
- IRニュース・決算情報
- ESG・サステナビリティ情報
以上が「個人投資家の皆さまへ」ページについての情報です。
私がわかりやすい!と思った「個人投資家の皆さまへ」ページ10選
お待たせいたしました。
それでは、Web制作者である私が選んだ「個人投資家の皆さまへ」ページを、10社分ご紹介いたします!
なお、ご紹介するサイトは当社の実績ではなく、私が閲覧したWebページは2025年10月17日現在のものです。
1社目:京セラ株式会社
アーチ型のメインビジュアルとアイコン付きのページ内リンクがお出迎え。
ページ内リンクにマウスカーソルを当てたときの、沈み込むようなホバーアニメーションがちょっとした好奇心をくすぐります。
全体的に躍動感のある雰囲気。赤色の線の太さ、見出しのウェイトの太さから力強さを感じます。
ポイントとなる部分にアニメーションが施されており、自然に目を向けてしまいます。
背景とドットナビゲーションにより、セクションの切り替わりもわかりやすいです。
ページ終盤の充実したコンテンツにも目を通しておきたいところ。
私が特にワ〜!と思ったのは「半導体業界を支えるファインセラミック材料・加工技術」の部分。
簡潔に、しかし繊細に描き込まれた製品のイラストに目を奪われます。何なのかわからなくてもついついクリックしたくなります。
「京セラ」という企業名はもちろん知っているのに、何をしている企業かはいまいち知らず。。
これほど多種多様な製品を作っているのか!と勉強になりました。


引用元:https://www.kyocera.co.jp/ir/individual/advantage/
2社目:住友林業株式会社
グループの紹介からはじまります。
マスコットキャラクターの「きこりん」と一緒に読み進めていくスタイルでしょうか、可愛いです。
落ち着いたグリーンと角の取れた図形により、柔らかい雰囲気です。
余白が広く取ってあることで伸び伸びとした印象も持ちます。
各セクションの見出しは控えめであるものの、背景色が変わるのでセクションの切り替わりがわかりやすいです。
今回ピックアップした中では文章量が多め。
図版やグラフとあわせて、十分な説明があるとやはり安心感を覚えます。
主要な情報を載せつつ詳細は別ページへ飛ばす構成なので、1ページ単体では少々物足りなさがありますが、もっと先のページも見てみようとユーザーが思えるであろう綺麗な見せ方です。


引用元:https://sfc.jp/information/ir/individual/
3社目:株式会社大和証券グループ本社
アクセスすると、ページ左端にある、人型アイコンが中央に配置された丸く青いボタンが目に入ります。
このボタン、何だろうとクリックするとアクセシビリティメニューなんですね。
クリック1つでさまざまな機能が有効になってくれて、自分が読みやすいようにカスタマイズすることができます。とても便利…!
実際に使わなかったとしても、ユーザーからするとこういった配慮が嬉しいですよね。
広々とした余白、細めのフォントウェイト、グリーンとグレーを基調としたページからは堅実さを感じます。
特にグラフは領域をガッツリ確保。
画像ではなくコードで書かれているので、マウスホバーすると応じたデータが表示されます。時間をかけて作り込まれていますね。
1点、文章量が控えめなので少しクールな印象ではあります。
セクションごとのリード文程度は設けてあると親しみやすくなるように思いました。


引用元:https://www.daiwa-grp.jp/ir/digest/
4社目:豊田通商株式会社
メインビジュアル部分に「個人投資家向け説明会はこちら」という白いボタンが設置してあります。
クリックして情報を見ると、2019年度からその名のとおり個人投資家に向けた配信を行われているんですね。
説明会によっては、資料とともにアーカイブを観ることもできます。
動画だと短時間でより多くの情報を得られたり、感情移入しやすかったりするので、このような動画は個人投資家向けののコンテンツとしてぴったりだと思いました。
さて、本来のページに戻りましょう。
私がざっと見た限りの話ではありますが、サステナビリティの項目はサイト内の別ページへ飛ばす構成がほぼほぼすべてと言っていいほどでした。
しかし、本企業は違います。
「SDGs17の目標」と絡めた取り組みを6つ記載しており、社会に対してどのような活動をしている企業なのかがとてもわかりやすいです。
1点、業績や配当金に関する情報がグラフにまとめてあると、視覚的にわかりやすくなって親切だと思いました。


引用元:https://www.toyota-tsusho.com/ir/individual/
5社目:日清製粉グループ
ページへアクセスすると、メインビジュアル部分にカルーセルが。
業績ハイライトや決算説明会資料など、4つのバナーが順番に表示される仕様になっています。
最新のIRニュースや株価の情報にすぐアクセスできる導線も整っており、洗練されている!と思いました。
ページ内に散りばめられたアイコンがとても可愛らしいです。
パッと目を引く赤い帯状の見出しにより、セクションの切り替わりは一目瞭然。小麦モチーフと思しきちょっとしたあしらいが素敵です。
文章とビジュアルのバランスも綺麗です。
リード文に対して説明文のフォントサイズが少し小さいので、人によっては若干読みづらさを感じるかもしれません。
情報が簡潔ながらも綺麗にまとめられており、時間をかけなくても主要な情報を理解することができる印象を持ちました。
1点、ページをスクロールするとページ内リンクが隠れてしまいます。
気づかずに見落とすユーザーもいるかもしれないので、もったいないと思いました。


引用元:https://www.nisshin.com/ir/investor/
6社目:野村グループ
カラフルなのにまとまりがあってノイズのない配色。
背景にあるランダムに配置されたぽよんとした図形が、より親しみやすさを感じさせます。
全体的に淡い色使いであるものの、強みの部分の背景色や太めの数字など、要所要所でメリハリがついているのでぼやけた印象にはなっていません。お見事です。
また、初めの方に企業理念・経営目標・経営戦略が掲載されているのがよいですね。
ページ中腹の株主還元のグラフだけを見ると、結構波があるので投資するにはちょっと…といった気持ちになりますが、会社の根っこや方向性がわかることで短絡的な判断をしなくて済みます。
ページ終盤には「個人投資家向け説明会」のセクションが控えめに。
動画から得られる情報量は多いので、見落とさないようにしておきたいところです。
アイコンやカラフルな背景のおかげか気になりませんが、文章は少なめです。
「野村グループの業績と株主還元」の箇所には、概要がテキストで書いてあるとよりわかりやすくなるように思いました。


引用元:https://www.nomuraholdings.com/jp/investor/individual.html
7社目:株式会社三井住友フィナンシャルグループ
マスコットキャラクターたちがお出迎え。
そういえばこのキャラクターのお名前知らないなぁと思って調べてみると、なんと紹介ページが。
予想外に面白く、読みながら楽しくなりました。興味のある方はぜひ覗いてみてほしいです。
キャラクターがいると、その企業に対する親近感が湧きますね。
またもや話が逸れました。
ページをスクロールすると、ページ内リンクがヘッダー部分に配置されるあまり見ない構成です。
都度ページトップに戻らずに済んでとても便利。カラフルなアイコンが可愛いですね。
リボン状の見出しと背景の移り変わりが相まって、なんだか紙芝居のようです。
テキストとビジュアルのバランスもよく、簡潔かつ綺麗にまとまっていてわかりやすいです。
1点、リード文や説明文のフォントが細いので、私は少し読みづらさを感じました。
図版やグラフはフォントが太く大きめで読みやすいからこそ、より気になってしまうのかもしれません。


引用元:https://www.smfg.co.jp/investor/individualinvestors/
8社目:ライオン株式会社
今回ご紹介する10社のうち、ページ単体での情報量が1番少ないです。
しかし、個人投資家が知りたいであろう情報の1つ・株主になるメリットが「ライオンの株主になると」という項目で4つ掲載されているんですね。
構成自体はとてもシンプルなんですが、セクションにメリハリがついており、余白は広く取られ、線がくっきりしたアイコンたちによって洗練された雰囲気があります。
図形が右下のみ角丸なのも一癖あって素敵です。


引用元:https://www.lion.co.jp/ja/ir/investor/
9社目:株式会社GENOVA
なんとインパクトのあるスクロールアニメーション。
情報を読み込む前にどんどんスクロールしてしまいますが、満足したらページトップへ戻りましょう。
本企業のことを私はこれまで存じ上げず。
「ヒトと医療をつないで健康な社会を創る」というミッションから医療系に特化されているのだとわかりましたが、デザインだけ見るととてもそうとは思えない力強さ。
紫がかったメインビジュアル、青色メインのミッションに使われた画像と、メインカラーであるボルドー。一見すると喧嘩しそうですが、綺麗にまとまってシックな雰囲気をもたらしています。
代表取締役社長の写真がモノクロなのもかっこいいですね。
ただ、株主になるメリットが本ページには見当たりません。
「医療×IT」という社会的ニーズの高い成長分野に参加できるのは魅力的ですが、株主になるからには相応の特典がほしいところなので、ついついアレ?と思ってしまいます。
また、私だけかもしれませんが、本サイトにもアクセシビリティメニューが搭載されていることになかなか気づきませんでした。


引用元:https://genova.co.jp/ir/individual_investor.html
10社目:TDK株式会社
今回ご紹介する10社のうち、ページ単体での情報量が1番多いです。
このページだけでもかなりの情報を得ることができます。
作られているのは総合電子部品。
日頃生活するうえで身近なものではないので最初は興味が湧きづらいかもしれませんが、メインビジュアル内にある「こんなところにTDK」というボタンをクリックしてみてください。きっとびっくりするはず。
Web制作者としては、どうやって実装されているのか気になるところです。。
実際の写真が用いられている製品たち。
業績概要(セグメント別)の部分では、セグメントごとに製品の集合写真が載せてあります。
わからなくてもこういった部品を作っているのだと示してくれるのは嬉しいです。
ページ終盤には資料や動画が充実しており、企業理解を深める役に立つこと間違いなしです。


引用元:https://www.tdk.com/ja/ir/individual_investors/index.html
自社の制作に取り入れたいと思った要素
インクデザインの場合、クライアントのご要望を伺いつつデザインを提案するケースが基本です。
クライアントのご要望にもよりますが、私が可能な範囲で取り入れたいと思った要素を最後にご紹介いたします。
ランディングページ形式のページ構成
私が閲覧した範囲では、個人投資家ページの構成として大きく2種類がありました。
- ページスクロールで一覧できるランディングページのようなWebページ
- 関連ページを集めた、リンク集のようなWebページ
何度もページをクリックしたり戻ったりを繰り返さないといけないのって、正直面倒じゃないですか?
投資経験に長けている方ならともかく、投資を始めようかと考えている方、投資を始めて日が浅い方だと、ブワーッと並んだリンクボタンを前に気後れしてしまいそうです。
例え情報量が一緒だったとしても、ページスクロールで一覧できる「1」の方がスムーズに情報を得られることでしょう。
ちなみに、私が見た中では2のリンク集タイプがほとんどでした。
ページ内リンクの設置
個人的には、目次としてそのページに掲載されている内容を把握できる点が1番のメリットだと思います。
また、納期や工数に余裕があれば、7社目の株式会社三井住友フィナンシャルグループのように作り込めると、よりユーザビリティの向上が見込めますね。
テキストとビジュアルのバランス
文章量が多いとユーザーに読まれない可能性がある、というのはよく言われることです。
かと言って文章を削りすぎると図版やグラフから読み取らざるを得ない状態になってしまい、ユーザーに対する思いやりに欠けるものと思います。
せめて、セクションごとにリード文は設けたいところです。
積極的なグラフの導入
数値的な情報は、表よりもグラフが一目瞭然。
読み取りやすいよう、領域を大きく使ってグラフを設けるのがよさそうです。
明確なセクションの切り替え
私が見たサイトの中には、セクションの切り替わりがわかりづらく窮屈で読む気が失せるものもありました。
ここで話が変わるのね、とわかることでその項目の理解がスムーズになります。
独自性のあるアイコンの使用
アイコンを使用するにあたり、Adobe StockやGetty Imagesのようなストックフォトサービスはよく使います。
ただ、「個人投資家の皆さまへ」のような企業ごとの色が強く出るページの場合、項目にあったアイコンを手作りすることで企業の特徴をより表すことができると思いました。
株主になるメリットの掲載
図版を用いつつ株主になるメリットを掲載すれば、ユーザーの興味を一層引き出す効果が期待できると思われます。
実際、私が投資先を選ぶとしたらこの情報に左右される気がします。
おわりに
なかなかのボリュームになってしまいました。
ここまで読んでくださったあなた、本当にありがとうございます。
今回ご紹介した10社は、特定の銘柄や投資先の推奨を意図したものではなく、構成やデザイン面から見て、私が個人的に「わかりやすい!」と思ったWebサイトです。
個人的な意見と言えど賛否両論あると思いますが、ここはひとつ「このような見方もあるのだな」と受け入れてくださったら嬉しいです。








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