「ぼくたちはブランディングの仕事はやらない」
僕(代表・鈴木)は前から社内外で言っていますし、実際にお断りすることも多くあります。
今回はそのテーマを切り口として、求人向け、内部向けの
「じゃあなにするの?」という記事を書いていこうと思います。
なぜブランディングの仕事をやらないのか?
大きな理由は、差別化による生き残り戦略。
多くのデザイン会社において、主軸の商材は「ブランディング」であると思います。
他のデザイン会社のウェブサイトを見ても「ブランディング」という単語が並びますね。
起業時、1人で弱い立場の僕は「同じことやっても絶対に勝てない」
と思い、逆張りをすることに決めました。
「マグロを置かないお寿司屋さん」のように。
当然リスクは大きいと思いましたが、まぁ1人の起業なので、そもそも失うものは少ない。
それで、ブランディングの仕事を捨てました。
同じくやらないと決めた仕事は、
・パッケージ
・広告
・店舗系デザイン
・商品開発
・雑誌
・チラシ
・EC
・プロダクト
今考えると、デザイン会社としてどうなの?という内容です。
ではなにやっているの?
生き残り戦略として活路を見いだしたのは「IR×デザイン」です。
「カジノ?」とよく聞かれますが違います(笑
Investor Relations(インベスター・リレーションズ)
企業が投資家に向けて、経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動
この時点で難解ですが、ざっくりいうと、企業が投資家に向けて
「ウチの会社こんなにいいから、株買って」
という活動です。
投資家向けの冊子を作ったり、サイトを作ったりそんなスタート。
華やかな広告業界を横目に、デザイン的には地味な仕事をひたすら続けていました。
そこから10年。「IR×デザイン」活路を求めて、長く仕事をしていますが、最近はその毛色が明確な変化を実感。
結局、同じ山登っていた
企業においても持続可能な取り組みが求められるようになり、パーパスや長期ビジョン、価値創造プロセスなどの概念的な案件が多くなってきました。
長期ビジョンや価値創造プロセス、マテリアリティなどに触れていくのは
企業のあり方そのものに触れること同義と感じます。
社長や経営陣と面談したりインタビューする機会も。
「ん、これってブランディング?」
時代にあわせて、IRがサスティナビリティなどの要素を包含することで、ブランディング的になってきた。
デザイナーの目線ではそのように映ります。
「結局は、経営に近づいていくという同じ山を登っていたのかも?」
ただポイントなのは、投資家をはじめとするステークホルダーに「わかりやすく」伝えることが必要だったりします。
デザイナーは実装から思考に
ぼくたちはスライドのデザインをメイン商材にしていますが、パワーポイントの制作代行ではないです。
「経営に最も近いクリエイティブ」と捉えて、経営を「わかりやすく、おもしろく」伝えるのを価値だと思っています。
が、どうしても採用のシーンではパワーポイントのデザインというとグラフィックデザイナーからは敬遠される傾向を感じます・・・涙涙
ただ、パワーポイントは単なる実装手段。
そう、「実装」
デザイナーというと、キレイにする、格好よくする、かわいくするなどのイメージづくり・・・つまり「実装」が価値だと思われそうですが、
これからの複雑で変化が激しく、ゆえに長期的なビジョンが必要となる経営環境では
「それってこういうことですよね」
というデザイン的「思考」が価値になっていくと予想。
また、「実装」はそのほとんどがAIが行うようになるので。
これからどうするの?
「ブランディングの仕事を捨てたら、結局ブランディングに近づいてきた」という話をしました。
ただ、やっぱり違う部分は多くて、投資家との対話には共通言語が必要だし、国や国際機関、外郭団体等の動向にも気を配る、環境配慮、人権配慮、気候変動、人的資本・・・
など、正直
「そこまでデザイナーやるの?」
という領域に踏み込みつつあります。
もちろん、実力不足で、悔しく、恥ずかしい思いもするし、上手くいかないことも多い。
ブランディングに近づいていくと、求められるデザインのクオリティも上がり、追いつくのが大変。
が、「思考」に価値を見いだしていくとなると、コンサルティング的要素が必要で、その垣根は曖昧になっていくと感じています。
また、思考はAIがアシストしてくれる。
ブランディング文脈では、デザイン会社がコンサルティングに近づいていくケースはいくつか見られ、尊敬するスーパースターもいらっしゃいますね。
IR×デザインの文脈からコンサルティングに近づいていくのは聞いたことがなく、未踏の地だと思っています。
未踏の地があるのは確かでブランディングのを捨てた僕たちが、目指す地点なのかもしれません。
「実装」と「思考」をともに提供。
そんな冒険の旅を一緒にいかがですか!