「聞こえの課題をゼロにする」をミッションに、お客様に寄り添ったソリューション提案を行う補聴器の専門家、JINO様のインフォグラフィック資料の制作をさせていただきました。
JINO様が以前からお困りだったのは、聴力とそれにまつわるソリューションの説明をする際に、情報量が非常に多く難解である点です。そのため課題解決を目指すお客様本人が自身の問題に興味を持てなかったり、考えることが負担になったりすることがあるそうです。生活の質を大きく左右する重要な問題なのに妥協や諦めはもったいない、まずその入口となる説明をわかりやすく、お客様に合わせたソリューション探しをしっかりサポートできるような資料制作をお願いしたい、というご依頼でした。
制作の流れ
・打ち合わせ
コロナ禍でしたが、お店の雰囲気や説明のニュアンスをつかむために対面で打ち合わせをさせていただきました。白を基調とした店内は優しい木目や植物の緑が映えて、明るくリラックスできる雰囲気でした。資料の詳細を伺いながら要点を確認、またどんな表現やテイストが良いかもこれまでの実績を紹介しつつ方向性を探りました。合わせて補聴器の実物を見せていただいたり、聞こえの課題や取り巻く環境などさまざまな背景を伺ったりなど、普段から啓蒙活動もされているJINO様の熱意を感じながら大きく理解を深めることができました。
・ラフ作成
打ち合わせ内容を踏まえて、大まかなラフを作成します。伝えたい内容をどのような構造にすればわかりやすいか、コンテンツ内容に過不足がないかを検討します。この時点ではイラストやグラフィックにまだ世界観はありませんが、情報のリサーチや構造の設計はインフォグラフィックで特に重要な工程となるため熟考が求められます。提出した案に対しJINO様の方でも検討と修正をしっかり行ってくださり、幾度かのやりとりを経て精度の高いラフを完成させることができました。
・イラストタッチ選定
イラストの雰囲気はいくつかの案をお見せしてご希望のタッチに近いものを伺いました。方向性が決まったらイラストについては担当のイラストレーターにバトンタッチします。今回はわかりやすさに加え親しみやすさも表現したかったので、人物などは手書きで制作することにしました。
・実制作
ラフ、イラストタッチともに決定したので実制作に入ります。前工程の精度が高いほど迷いは起きずらいですが、色味や文字の視認性、全体のバランスなどを調整しながら形にしていきます。4点のうち、まず2点を完成させてイメージを確認いただいてから、のこりの2点についても制作しました。複数にわたるシリーズ物では、ルール意識を持った構成にするとまとまってきます。
・最終確認、納品
最後に誤字脱字や情報の漏れがないか、全体のグラフィックやイラストに問題がないかを確認します。今回は手話のアイコンに描いた手の形が、手話上の意味合いだとつながらない内容だったため別の手話に変更しました。その他、文言やイラストに微修正を加え晴れて納品となりました。
完成ビジュアル
“聞こえない”は聴力レベルによって明確に分かれているのではなく、一人ひとりの聞こえ方は必ず異なり、同じの聞こえの人はいません。そのため解決策も一様ではなく、自身に合うソリューションをしっかり導き出すことが重要です。
聞こえの問題は多種多様で難聴の種類や症状などざっくり分けても150通り以上あります。その他、年齢や環境など、ソリューションを選ぶうえで考えるべき点は多岐に渡ります。
補聴器以外にもさまざまなソリューションがあり、ライフスタイルや目的に合わせて組み合わせも自由です。選びうるたくさんの選択肢があることと、それぞれの特徴をわかりやすく紹介します。
補聴器の機能を考える上でまわりの騒音環境も重要です。また近くの音を拾うことは得意な反面、距離がある場合には補聴援助システム(マイク)を利用することでより快適な聞こえの環境をつくることができます。
制作を終えて
難しい内容をわかりやすく伝えるためにはまず発信側のリサーチと理解が不可欠です。インフォグラフィック制作では一番時間のかかるポイントですが、今回はJINO様の豊富な知識と丁寧な説明のおかげでつまづくことなくクリアしていくことができました。
しっかりと要点をしぼり再構築された情報は、説明を聞く本人はもちろん同伴の方など周囲への理解も助けることができます。聞こえに限ったことではりませんが、課題の多くは周囲の理解があることで解決への道筋や手段が大きく広がります。その意味でも今回の資料作りはとてもやりがいがあり、JINO様の熱き思いと姿勢にも多くの刺激をいただくことができました。多様性が叫ばれていますが言葉のみをひとり歩きさせることのないよう、今後もさまざまなわかりやすさをサポートできればと思います。表現や伝え方でお悩みの際はぜひご相談くださいませ。