
早いもので2025年度も上半期が終わり、もう夏真っ盛りです。3月決算企業のIR担当者の皆さまは、通期決算資料制作をはじめ様々な実務に追われ多忙な日々を過ごしていることと思います。今回はインクデザインに所属する元IR担当者とともに、忙しい時にでも目を通しておきたいIR関係のニュースをピックアップしてみました。2024年の振り返りからはじめ、2025年上半期の注目トピックスをお伝えします。
2024年のIRを振り返り!

2024年は、2025年から本格的に変わるIRのルールに備えるための「準備期間」という1年でした。
1. 東証からPBR改善の要請
2023年に東京証券取引所からPBRの改善を求められたのを受けて、2024年は多くの企業がその対応に追われました。PBRが1倍を下回っているというのは、「会社の価値が、持っている資産の価値より低い」という状態。この状況は長年の課題でした。
政府や東証が積極的に働きかけたこともあって、日本企業の株価は少しずつ上がってきました。2024年1月末の時点で、PBRが1倍を下回る企業は3割未満に。一方で、PBRが1倍を超えたから安心というわけではなく、どの企業も継続的に、企業価値向上の意欲やプロセスを明らかにしていくことが大切です。
長い目でPBRの向上と向き合う必要があるんですね
日経ESG|東証、PBR改善「ダメ開示」公表https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/120900487/
日本取引所グループ|「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表の公表について
https://www.jpx.co.jp/news/1020/20240115-01.html
2. サステナビリティ情報の開示ルールが国際的に動き出す
2024年は、サステナビリティに関する情報開示のルールが、世界的に大きく変わった年でした。国際的な組織が統一された基準(IFRS S1、S2)を作り、これが世界共通のルールとして定着しました。
日本でも、この流れに合わせて動きが始まっています。日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、この国際基準をもとにした日本独自の基準を作り始め、金融庁も開示のルールについて検討を始めました。
世界で統一されたルールができるってことは、海外の投資家ともっと話しやすくなるってこと!
IFRS|ISSB issues inaugural global sustainability disclosure standards
https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2023/06/issb-issues-ifrs-s1-ifrs-s2/
金融庁|金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第1回)の開催について
https://www.fsa.go.jp/news/r5/singi/20240326.html
2025年上半期の注目トピックス

2025年上半期は、いよいよ本格的に開示のルールが変わった時期でした。
1. プライム市場での英文開示が義務化!
2025年4月1日から、プライム市場に上場している企業は、決算やその他大事な情報を英語でも開示することが義務付けられました。これは、海外の投資家にもっと日本企業の情報を届けて、日本市場の魅力を高めるためです。
基本的には日本語で開示するのと同時に英語でも開示することが求められます。まだ準備が間に合わない企業には1年間の猶予期間も設けられました。ただ、これは単なる翻訳作業ではなく、海外の投資家としっかり対話するための重要な一歩です。
英文開示の義務化は、海外からの投資を呼び込むための大きなチャンス!
日本取引所グループ|英文開示
https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/disclosure-gate/
KPMG|東証、プライム市場における英文開示の拡充に向けた上場制度の整備に係る有価証券上場規模等の一部改正を公表
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/jp/pdf/2024/jp-jgaap-news-flash-2024-02-28-0514.pdf
2. サステナビリティ開示の日本版基準が確定
2024年から検討が進められていた、サステナビリティ開示の日本版基準が2025年上半期に決まりました。日本版基準は、世界の基準と内容を合わせつつも、日本独自のルールも一部加えられています。
これにより、企業が具体的にどんな情報を開示すればいいのかがはっきりしました。これまでの開示の取り組みも活かしながら、より高いレベルでの情報開示が求められることになります。ちなみに、適用される時期は企業の規模によって順次始まる予定です。
SSBJって、Sustainability Standards Board of Japanの略なんだって!
SSBJ|サステナビリティ基準委員会がサステナビリティ開示基準を公表
https://www.ssb-j.jp/jp/ssbj_standards/2025-0305.html
金融庁|金融審議会 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関する ワーキング・グループ 中間論点整理
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20250717/01.pdf
3. 金融庁が制度作りに力を入れている
サステナビリティ関連の開示以外にも、金融庁が色々な分野で新しいルール作りを積極的に進めています。有識者の会議などをたくさん立ち上げて、より良い市場にするための枠組みを考えているんです。
・インパクト投資等に関する検討会
・スチュワードシップ・コードに関する有識者会議
・サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ
・サステナブルファイナンス有識者会議
・サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ
・カーボン・クレジット取引に関する金融インフラのあり方等に係る検討会
・「ジャパン・コーポレート・ガバナンス・フォーラム」の設置について
・気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ
・データ関係機関懇談会
・サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ
・スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議
市場の変化に置いてけぼりにならないために、継続的な情報のキャッチアップが大切ですね!
金融庁|新着情報一覧
https://www.fsa.go.jp/sintyaku.html

2024年から2025年にかけて、日本のIRはまさに変革の渦中。さまざまな対応を求められますが、自社の企業価値をグローバルな視点で見つめ直し、より効果的に発信する絶好の機会でもあるはずです。
インクデザインでも変化に備えて、着実に準備を進めています。統合報告書や中期経営計画のほか、サステナビリティレポートやファクトブックなど様々なIR資料の制作実績があります。
ぜひご相談ください。