
こんにちは! 元IR担当の長谷川です。
PRと比べて、歴史としてはまだまだ新しいIR。昨今、IR専任者のいる企業が増えてきているものの、まだまだIRへの認知・理解度合いは一般的に低いのかもしれません。
この記事では、年間を通して多岐にわたるIR担当者の業務と、そのリアルを解説します!
※あくまで一例であり、全てを網羅するものではありません。
はじめに:IR担当者の仕事とは?
IR(Investor Relations)とは?
企業が株主や投資家に対して、経営状況や財務情報、今後の戦略などを継続的に情報開示し、コミュニケーションを図る活動のことを指します。
企業経営において、IRが重要とされる理由は大きく5つに分けられます。

1. 企業価値向上への貢献
単なる情報開示に留まらず、投資家との対話を通じて企業の理解を深めてもらい、長期的な信頼関係を築くことで企業価値の向上に繋がります。
2. 資金調達の円滑化
投資家からの信頼を得ることで、株式や社債の発行などによる資金調達を円滑に進めることができます。
3. 株主・投資家との良好な関係構築
企業が適切に情報を開示し、対話を行うことで、株主や投資家の企業への理解を深め、良好な関係を維持することができます。
4. 透明性の確保
企業情報が適切に開示されることで、市場の透明性が高まり、投資家が公正な判断を下すことができます。
5. 企業イメージの向上
積極的なIR活動は、企業の誠実さや透明性を示すことになり、企業イメージの向上にもつながります。
単なる情報開示に留まらない、企業価値向上への貢献がIR担当者の役割です!
【年間スケジュール】IR担当者の主要業務と「伝える」工夫
ここでは、IR担当者の主な業務をフェーズごとに紹介します!
フェーズ1:四半期ごとの「情報開示」と「対話準備」

01 決算短信・決算説明資料の作成(毎四半期、約2ヶ月間を集中)
限られた作成期間の中で、数値の正確性、情報の網羅性、スピード感が求められます。
関係部署との連携も大切です。
- 経理部門との連携
数値の整合性確保と、複雑な財務情報の解釈・分析をします。 - 各事業部門の担当者との対話
業績が増減した根拠の確認、各事業の進捗や今後の戦略を資料に落とし込みます。
💡デザインの役割
膨大な情報を「分かりやすく」「魅力的に」伝えるためのグラフ、図表、インフォグラフィックを活用するのがポイント。 資料の構成や見せ方が、企業のメッセージを理解してもらうことに大きく影響します!
02 法定開示書類の作成:四半期報告書・有価証券報告書
投資家保護の観点から法的に義務付けられた重要な開示書類です。厳格なフォーマットと記載要件があるため、正確性が最優先されます。
IR担当者がこれら書類の作成にも関与し、企業情報の統括役を担っているといえますね。
03 投資家対応の「事前準備」と資料作成
投資家とのミーティングに向けて、質問に全て対応できるようにPL、KPIなどの情報をまとめた資料を作成します。初めてミーティングをする方には、会社概要やビジネスモデル資料の作成してご提供することもあります。その際、特に「分かりやすさ」が求められます!
今までの投資家とのミーティングを分析し、質疑応答を想定したQ&A集を作成することもあります。
フェーズ2:投資家との「直接対話」と「関係構築」(開示後の集中期間)

01 1 on 1ミーティング
多種多様な投資家(機関投資家、個人投資家、国内外問わず)へ個別に対応します。対話を通じて企業の理解を深めてもらい、長期的な信頼関係を築くことが重要です。
02 グループミーティング / 決算説明会の開催
複数の投資家に対して一斉に説明する機会。効果的なプレゼンテーションの工夫と、わかりやすい資料であることが重要です。
プレゼンテーションの後には質疑応答が設けられます。基本的に会社の代表が回答しますが、IR担当者はいつでもサポートに入れるように迅速かつ的確な対応が求められます。
03 電話・メール問い合わせ対応
日常的な問い合わせへの迅速かつ丁寧な対応が、投資家との関係維持に影響します。問い合わせが来たらその日のうちに対応することがベストです。
フェーズ3:経営・株主との「対話の場」の運営と年次報告

01 取締役会の運営(毎月開催される重要会議体)
取締役に対する情報提供と、経営判断を円滑にするための資料作成・説明の役割を担います。
正確かつ簡潔な情報提供が、意思決定の質を高めます。
02 株主総会の運営(株主との「直接対話の場」)
株主に対する経営報告と意見交換の場といえます。企業の透明性を示す重要な機会であり、円滑な運営を行うための周到な準備と調整力が必要です。
03 株主通信の作成
個人株主向けの情報提供の機会です。企業のメッセージをよりわかりやすく、親しみやすく伝えるための表現やデザインの工夫が必要です。
04 統合報告書の作成(年1回)
財務情報と非財務情報(ESGなど)を統合し、中長期的な企業価値創造ストーリーを伝えることが重要です。
多岐にわたる部門(サステナビリティ、人事、広報、事業部門など)との連携、調整をする必要があり、相当な労力を費やす必要があります。
💡デザインの役割
情報量が多く 複雑な情報を整理し、読者に深い理解を促すデザインの力が必要です。
その企業らしさをグラフィックスなどのデザインを通しても表現できるため、各社の個性が際立ちます。
「社内IR」で企業文化を育む~全社員がIRを意識する重要性~
なぜ今、社内IRが重要なのか?
社員の自社理解の促進、エンゲージメント向上、ひいては外部への情報発信力強化に繋がるためです。
社内IRの取り組み
その企業によってさまざまですが、例えば以下のような取り組みをすることがあります。
- 投資家とのミーティング結果を社内に報告
- 社内掲示板での開示内容の共有
タイムリーな情報提供が、社員のIR意識と企業への貢献意欲を高めます。 - アニメーション動画や冊子の作成
「決算とは?」「中期経営計画とは?」「統合報告書のポイント解説」など、複雑な内容を視覚的に分かりやすい形で社員に届ける効果。
💡デザインの役割
ストーリー構成、分かりやすいビジュアル表現などが必要です。
IR担当者のやりがいと、デザインがもたらす「共感」と「価値」
数字を伝えるだけではなく、企業の成長ストーリーを伝え、投資家や社員との信頼を築くことに達成感を抱くことができます。
多忙な業務の中で、いかに「分かりやすさ」を追求するかというIR担当者の挑戦であるといえるのではないでしょうか…!
インクデザインの考える「分かりやすいデザイン」は、単に見た目を美しくするだけではありません。深くビジネス理解をした上で、IR担当者の「伝えたい」という思いや企業情報を形にすることで、業務効率化や企業価値向上に貢献しています。
まとめ:あなたのIRコミュニケーションをデザインの力で、もっと伝わるものに。
IR担当者の仕事内容や役割、社内外へのコミュニケーションの重要性などが伝わりましたか?
当時、社内外のいろんな方と協力しつつ、多岐にわたる業務をこなすのが大変だったことを思い出しました…!IR資料や対話を通じて、個人や機関投資家の方々に、業績やビジネスモデル、つよみ、成長性などが伝わった時にとても嬉しかったなとしみじみ思います。
質の高いIR資料と社内外のコミュニケーションは、企業の未来を拓くために必要な投資です!
インクデザインではIR資料デザインサービスを軸にIRコミュニケーションをサポートしています。
IR資料の制作支援をお求めの方は、ぜひお問い合わせください。
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