【デザインの話】CMYK変換について

更新日:2025年7月14日

はじめに

私たちインクデザインは、IR分野に特化したデザイン制作会社です。パワーポイントを使ったIR資料のデザインをはじめ、コーポレートサイトや印刷物など幅広くデザイン制作を行っています。

そんな私たちの会社では、週に一度チームや役割など関係なく全体がオンライン上で集まる朝礼があり、そこで「デザインの話」というスタッフそれぞれ好きな話題をテーマにし、持ち回り制で発表する機会があります。

今回、そんな「デザインの話」の発表の中から、デザイナーのためになりそうな情報をピックアップ!デザイナーのはるかさんが発表してくれた「CMYK変換について」のお話の中から、内容の一部をご紹介したいと思います。

「先にCMYK変換してから補正は絶対やっちゃだめ」

普段から何気なくデザインに関する情報収集をXなどのSNSやアート情報サイトを通して行なっているというはるかさん、たまたまXで流れてきた「先にCMYK変換してから補正は絶対やっちゃだめ」という文面の投稿に衝撃を受けたのだとか。

仕事柄、普段から画像を取り扱うことが多いデザイナーの彼女にとって、自分の中での常識としていた手順は果たして合っているのか…?と、気になって調べてみたそうです。

RGBとCMYK、デジタルと印刷の色の違い

普段、デジタルカメラやモニターなど、身近なデジタルデバイスで使われている「RGB」。これは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光の三原色を混ぜ合わせて色を表現する方法で、非常に広い色域(表現できる色の範囲)を持っています。

一方、冊子やパンフレットなど、実際に手に取れる印刷物で使われているのが「CMYK」。シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、黒(Key Plate/Black)の4色のインクを混ぜ合わせることで色を表現しています。

インクデザインでは、印刷しない前提での資料を依頼されるケースも多いのですが、冊子やチラシ、ポスターなどといった印刷物のご依頼も多くいただいています。

<過去の制作実績の一例>


印刷物を制作する際は、印刷会社さんへデザインデータをお渡し(入稿)しているのですが、入稿時はRGBデータを印刷用のCMYKへ変換するといった作業が必要です。この時に注意しなくてはならないのが、色の変化

鮮やかに表現されていた色が、CMYKへ変換すると色が沈んでしまったりくすんで見えてしまうことがよくあります。これは、CMYKが表現できる色の範囲(色域)がRGBよりも狭いことが原因なのだそうです。

それぞれの「色域」とCMYK 変換

「色域(しきいき)」とは、人間が認識できる色の範囲(可視領域)のうち、特定のデバイス(ディスプレイ、カメラなど)や、特定の規格(sRGB、Adobe RGBなど)が表現できる色の範囲のことを指します。

CMYK変換は、この広いRGBの色域を、印刷が再現できる狭い色域空間に押し込め、インクの特性や印刷時の不具合を吸収して、最適な印刷品質を得るために行われる、非常に「破壊的」な処理となるそうです。

色の劣化を抑えるための対処法

そんな「破壊的」な処理と言われているCMYK変換。
変換した直後が最もバランスの良い状態と言われており、最初にCMYK変換をしてしまうと、その後の調整で元データが持つディテールを失ってしまうということがわかりました。

そのため、画像データの調整はCMYK変換を行う前、つまりRGBデータの状態で行うのが正しい対処法となるそうです。 RGBの段階で補正を行うことで、CMYK変換での色の劣化を最小限に抑えることが可能となります。

CMYKでは再現できない鮮やかな色(色域外の色)を、CMYK変換時にどのように処理されるのかを予測して、必要であればRGBの段階でその色がCMYKでも無理なく表現できるように調整しておくことも重要だそうです。

CMYK変換の最適な手順

まずRGBの元データの状態で、色域や色のプレビューを考えながら補正を行う。
CMYK変換後のデータは元のRGBデータに比べて情報が失われます。そのため、最初にRGBの状態で可能な限りの補正を終えるべきです。RGBはCMYKよりも広い色域を持つため、より多くの色の情報が保持されます。この段階で補正を行うことで、後々のCMYK変換での色の劣化を最小限に抑えることができます。
適切なCMYKプロファイルを使い、画像に適した方法でCMYKに変換する。
CMYKに変換する際には、使用する印刷機の種類や用紙に合ったCMYKプロファイルを選択し、色域外の色をどのように処理するか(マッチング方法)を確認することが重要です。(Photoshopの場合、「編集」>「プロファイル変換」>「変換オプション」から設定が可能)
必要あれば、CMYKデータに対して微調整を行う。
最終的な調整はCMYK変換後に行いますが、あくまで微調整に留めるべきです。

これらの手順でCMYK変換を行い、色の劣化を最小限に抑えたデータを用意すると良いでしょう。

さいごに

今回発表してくれたデザイナーのはるかさんは、「適材適所で使いわけることもきっとあるかと思うけど、画像の品質を大切にされているようなデータを取り扱う際には、この手順を意識して活用したい。」とおっしゃっていました。

個人の知識や当たり前だと思っていた操作手順など、意外に他の人とは違っていたり、正しい情報がどんどん更新されていったり…ということは結構多いかと思います。

なかなか他のスタッフとシェアしてみないと分からないことも多いので、今後も「デザインの話」を通じて、社内で定期的に作業方法の見直しや常識のすり合わせ、情報交換を行っていければと思います!

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