SX実現に向けた中期経営計画の作り方【2025年版】

更新日:2025年2月16日

SXと統合報告書の関係(総合報告書を充実させるには?)

こんにちは、代表の鈴木です。

最初に結論
統合報告書を充実させたいなら、まずはSX(Sustainability Transformation)の視点を取り入れた中期経営計画づくりに本気で取り組むのが近道であり、IR活動の骨子になると思います。

最近は統合報告書を作る企業がかなり増えていますね。インクデザインでもこの数年請ける量が増えています。

さて、そんな統合報告書ですが、「統合報告書を充実させたい」「はじめての統合報告書を作りたい」と考えたとき、どんなことを思い描くでしょうか?

「ステークホルダーへの情報開示を充実させたい」
「投資家に自社の魅力をしっかり伝えたい」
「マルチステークホルダー向けに経営を可視化する情報が欲しい」

さまざまな理由があると思います。

とはいえ、単に前半に財務情報、後半に非財務情報(ESGなど)を並べて掲載するだけでは、本当の意味での“統合思考”とは言えないですね。

そこでカギになるのが、SX(Sustainability Transformation)という考え方。

SX(Sustainability Transformation)とは?

では、SX(Sustainability Transformation)とはなんでしょう??

SXは、企業が社会・環境への配慮をコア戦略と結びつけ、経営モデルを根本的に変革していくアプローチのこと。
もうちょいわかりやく言うと、「持続可能性と収益性の両立」

  • 単なるCSRや環境対策の枠を超えて、長期的な社会価値と経済価値を同時に高めていく考え方。
  • 財務情報、非財務情報ともに、長期ビジョンに向けた戦略に紐付いている必要がある。

よかったらこちらも参考にしてください!

統合報告書は、このSXを取り入れた経営の「全体像」と「将来像」をわかりやすく伝えるためのレポートであるべきと考えます!!

  • 「どのような長期ビジョンを掲げ、環境や社会にどう貢献しているのか」
  • 「そのうえで、どんなビジネスモデルやガバナンス体制で収益を上げているのか」

このようにSXと統合報告書は表裏一体。SXを進めれば、統合報告書がより充実し、読み手にも納得感を与えることができます。
逆に、「統合報告書を充実させたい!」と考えれば、自然とSXの考え方を経営に取り入れる必要性が見えてくるでしょう。

マテリアリティだけが時空を越える

今回は「中期経営計画のつくりかた」なのですが、まだまだ前段部分が続きます・・・しかも謎見出し・・笑

SXを具現化するうえで欠かせないのが、長期ビジョンとマテリアリティ(重要課題)の策定です。

長期ビジョンは企業の目指すべき姿、ありたい姿。
その姿をある程度明確化して、現状何が足りていないか?、取り組むべき重要課題はなにか?

その重要課題がマテリアリティと考えます。

中期経営計画を作成する際も、「どの課題をどう解決しているのか」「どんな取り組みしているか」「戦略と紐付いているか」を明確に示すことがポイントです。
マテリアリティは財務と非財務を繋ぐ希望のロープなのです!

なので、中期経営計画の中でも、マテリアリティについて、取り組みとモニタリング、改訂などに言及していく必要があると考えます。

ずばり、マテリアリティとは、財務と非財務を繋ぐものであり、今と未来をつなぐものなのです!!

マテリアリティを見極めるステップ

もうちょい、本題に入るまでお付き合いください。
ではそもマテリアリティはどうやって決めればいいのか?

ビジョン・目的の再確認

  • まずは企業として「どうなりたいのか」を明確化するのが必要です。いわゆる長期ビジョン、2030ビジョンなどです。
  • たとえば「2050年にCO₂排出量実質ゼロ」「3年後までに売上を1.5倍+環境配慮型製品の比率50%」など、サステナビリティと経営指標(KPI・KGI)をセットで考えるのがポイントですね。

外部環境・自社分析

  • 市場の動向(規制・競合・技術トレンド・消費者ニーズ)と自社の強み・弱み(設備投資力、技術力、人材など)を照らし合わせます。
  • ESGの視点で「環境」「社会」「ガバナンス」それぞれの課題を洗い出しておきましょう。

ステークホルダーの声を収集

  • 顧客や従業員、投資家、地域コミュニティなど、いろいろな角度から意見を集めると、経営サイドだけでは気づけなかった課題も見えてきます。

マテリアリティの優先順位付け

  • 「自社にとって重要度が高いか」「社会への影響度が大きいか」の2軸で課題をマッピングすると、最重要課題がクリアになります。
  • 例)「製造工程のCO₂削減」「取締役会の独立性・多様性強化」「女性管理職比率の拡大」など。

SXへ向けた中期経営計画への落とし込み

さて、やっと中期経営計画の話題に入ってきました。
「鈴木はもしかして、SEOのキーワード対策で、だらだら前段長くしやがったな?」
そんな声も聞こえてきそうですが(笑
中期経営計画にはそれだけ、長期目線が大切ということです!!

財務と非財務をつなぎ、今と未来をつなぐマテリアリティを定めたら、それを3〜5年の中期経営計画に落とし込んでいきます。
これこそが、SXの具体的アクションを戦略として形にするプロセスです。

バックキャスティングで大まかなロードマップを描く

目指す姿(長期ビジョン)から逆算(バックキャスティング)し、「最初の1年で何をするか」「2年後にはどんな成果を出したいか」をステップごとに大まかに整理します。
目指す姿までにやや長い道のりに感じるなら、途中でマイルストーン(中間目標)を置いてもよいかと思います。

具体的な戦略に落とし込む

ロードマップに従って、直近3年くらいの具体的な戦略をに落とし込んでみましょう。
ここでのポイントは「マテリアリティと戦略を紐付ける」ことです。

例)「CO₂削減」をマテリアリティに挙げた場合

  • 製造工程の省エネ投資を進める
  • 再生可能エネルギーを導入する
  • “グリーン”な新製品を打ち出し、営業拡大につなげる(例:環境配慮型サービスで新規顧客を獲得)

例)「新市場開拓」をマテリアリティに挙げた場合

  • 海外展開の専門部署を立ち上げる
  • 社内体制や商品ラインナップを見直し、ローカルニーズに応える
  • 社会性の高い商品・サービスによるブランド訴求を強化し、売上拡大を狙う

例)「アクセシビリティ向上」をマテリアリティに挙げた場合

  • アクセシビリティに配慮した製品の開発
  • 社員にアクセシビリティ関連の教育を行う
  • アクセシビリティに関する情報発信を行う

KGI・KPI(財務目標を含む)を設定

具体的な戦略が練られたら、数値目標も設定しましょう。
数値目標を設定して、モニタリングを続けることで、実効性と投資家への説得感が増します。
また、マテリアリティと数値目標が紐付くことも大切です。

KGI(重要目標達成指標): 3~5年後に達成したい大きな数値目標

例)「売上高○○億円」「CO₂排出量△%削減」「海外売上比率△%」「管理職の女性比率△%」など

KPI(重要業績評価指標): KGIを達成するための具体的行動やプロセス指標

例)「月次の省エネ投資額」「新規顧客獲得数」「コンプライアンス研修受講率」など

財務目標(売上・利益率など)と非財務目標を必ず盛り込み、社会・環境の課題解決と経営パフォーマンス向上の両立を目指し、数値と戦略を紐付かせるのがSXらしさですし、統合思考への第一歩です!!

内外に開示する情報を絞り込む

さて、やっとここからがいわゆる「デザインと言われている部分」中期経営計画の資料として、内部外部にどのような内容を、どの程度開示するか。どんな見せ方、デザインにするか。
投資家向けプレゼン資料で全てを詳しく説明しすぎると、かえってポイントがぼやけてしまう場合も。

「自社が本当に強みを発揮できる領域」「最も大きな社会課題に貢献できる領域」に絞って、コアメッセージとして発信しましょう!!

充実した統合報告書への第一歩

統合報告書とは財務と非財務を統合して伝える媒体であり、統合思考とは企業の収益性と持続可能性を両立する思考です。(SX)

これまで述べたように、

  • 長期ビジョン
  • マテリアリティ
  • ロードマップ
  • 中期的な戦略(中期経営計画)
  • 数値目標

を整理して中期経営計画を作ることで、統合報告書へ掲載する情報のほとんどは揃います。
逆に言うと、
統合報告書はその名の通り報告する単なるパッケージなので、企業は常に収益性と持続可能性を考慮した経営を行っているコトが大切です。

計画は「ローリング」で柔軟に修正

不確定な世の中、中期経営計画不要論もありますね。
僕自身もお題目のような中期経営計画は必要ないと思います。
いくら綿密な中期経営計画を立てても、急速に変化する市場環境では一度決めた計画を固守するだけではリスクが高いので。

しかし、企業における持続可能性を本気で目指す場合は、「今何を取り組むか、その取り組みが持続可能な未来に繋がっているか」

それを内外に示す必要があると考えます。
世の中の変化は当然起きるので、ローリングで柔軟に対応しましょう。

  • 年1回程度のタイミングで、外部環境や社内の進捗に合わせて計画を見直す「ローリング方式」を導入し、柔軟に修正していくことも有効です。
  • しかし、長期的なビジョンやマテリアリティの方向性までコロコロ変えてしまうと、一貫性を失ってしまいます。あくまで軸はしっかり持つことが大切ですネ!

まとめ

冒頭にキャッチーな結論として、

「統合報告書を充実させたいなら、まずはSXの視点を取り入れた中期経営計画づくりに本気で取り組むのが近道。」

と述べましたが、もちろん、本質は統合報告書の充実ではなく、企業として本気でSXに取り組むこと、本気で持続可能性を追求することだと思います。それを踏まえたまとめ。

SX(Sustainability Transformation)を軸にした中期経営計画を定めることでは、社会・環境課題への取り組みと企業の財務目標を結びつけるため、自然と統合報告書の内容に強い説得力が生まれます。

その際、マテリアリティ(重要課題)が財務と非財務、今と未来をむすぶものであり、しっかりと設定し、営業拡大や利益確保といった経営面の戦略と、環境・社会への配慮を一体化させるプロセスが重要。

KGI/KPIでは、財務目標を含めて数値化することで、社内外に対してアクションの優先度と進捗をクリアに示せます。

計画はローリングで柔軟に修正しながらも、ビジョンとマテリアリティの軸はしっかり守ることで、ブレない経営の実現を目指しましょう。

なんとなく難しそうですが、SXへの第一歩はその姿勢を中期経営計画で示すことだし、IR戦略の骨子になると思います!!


いかがでしたでしょうか?本記事ではいろいろな論点を盛り込みましたので、正直とっちらかっています(笑
インクデザインではSXへ向けた中期経営計画のストーリーづくり、マテリアリティの策定、統合報告書の企画デザインなど承っています。

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