障害者差別解消法改正に対する対応
今、ウェブ業界やクライアント企業さまを中心に密かな話題になっている、障害者差別解消法改正に伴う、ウェブサイトアクセシビリティの対応に関してまとめてみようかと思います。
私の結論としては、
法対応のためだけにウェブサイトのアクセシビリティを今すぐに見直す必要は無いが、企業の姿勢として、継続的にウェブサイトに限らず、アクセシビリティに対しては十分な配慮は必要である
と思います。
まず、今回の法改正の概要に関して下記が概要。
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、平成28年4月1日から施行されました。
令和3年5月、同法は改正されました(令和3年法律第56号)。改正法は、令和6年4月1日から施行されます。
引用:内閣府 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律】
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html
法的にはwebサイトのアクセシビリティ(合理的配慮)に関して、合理的配慮がこれまで努力義務だったのが、義務化され、webサイトでもアクセシビリティに対する配慮が必要になる。
という解釈が起こっているということ。
上記の【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律】には明確にwebサイトのアクセシビリティに対して配慮すべきという内容はなさそうで、厳密には4月までにwebサイトのアクセシビリティに対して、なにがなんでも対応することではないと考えます。
また、ほとんどの企業は今までになんらかの対策を行ってきていると感じます。
ただし、企業としては、合理的配慮が義務化された中で、アクセシビリティに配慮するのは当然であり、webをはじめとする発行物にもアクセシビリティ対応が必要であろうと思いますので、長期目線ではアクセシビリティ対応を継続して行うべきだと思います。
参考記事
https://www.mitsue.co.jp/knowledge/column/20230324.html
https://www.idanet.co.jp/blog/web-accessibility/
ウェブアクセシビリティへの取り組み方
ではどのようにアクセシビリティに取り組めばいいのか?
まずは、「アクセシビリティポリシー」を企業内で制定するのがよいかと思います。
テクニックや施策だけではどうしても現場レベルの芯がなくブレた対応になる可能性もあるので、経営レベルで「アクセシビリティポリシー」を共有することが大切です。
ウェブアクセシビリティガイドライン
ガイドラインとしては、JIS X 8341-3:2016、W3CのWeb Content Accessibility Guidelinesなどが目安になります。
【参考サイト】ウェブアクセシビリティ基盤委員会
ウェブサイトアクセシビリティの具体的な手法
それでは、以下に具体的なウェブサイトのアクセシビリティを向上させるための基本的な対策をいくつか紹介します。(当社調べ・・というかChat-GPT!)
意味的なマークアップを使用する
HTML要素を正しく使用し、コンテンツの構造を明確にすることで、スクリーンリーダーのユーザーがコンテンツを理解しやすくします。
テキストと背景のコントラストを確保する
視覚障害のあるユーザーがテキストを読みやすくするため、十分なコントラスト比を持つ色を選ぶことが重要です。
画像に代替テキストを提供する
alt属性を使用して、画像の内容や機能を説明するテキストを提供します。これにより、スクリーンリーダーのユーザーが画像の内容を理解できます。
キーボードナビゲーションをサポートする
マウスを使用しなくても、すべての機能や情報にアクセスできるようにします。
明確なフォームラベルを使用する
フォームの入力フィールドには明確なラベルを提供し、エラーメッセージをわかりやすくすることで、ユーザーがフォームを正しく使用できるようにします。
動画や音声コンテンツに字幕や音声解説を提供する
聴覚障害のあるユーザーや、音声を聞くことが難しい環境にいるユーザーのために、このような対策が必要です。
時間制限のあるコンテンツを避ける
もし必要な場合、ユーザーに時間を延長するオプションを提供します。
明確なリンクテキストを使用する
「こちらをクリック」などの不明確なリンクテキストよりも、リンクの目的や宛先を明確に示すテキストを使用します。
閃光や動きの速いエフェクトは避ける
エフェクトはなるべく軽微に必要な場合のみに使用します。
アクセシビリティテストツールを使用する
自動テストツールや専門家による手動テストを組み合わせて、サイトのアクセシビリティを評価し、改善します。
実際のユーザーからのフィードバックを取り入れる
結局、ユーザー自身が最も良いアクセシビリティの評価者となるため、彼らのフィードバックを収集し、反映させることが重要です。
以上になります。
法律が絡むので難しい問題ではありますが、合理的配慮は社会的に必要なことだと思いますし、ウェブサイトに限らず、アクセシビリティへの配慮、取り組みは企業の義務であり、サスティナビリティの一貫だと思っています。
私たちもデザインの面から合理的配慮を支えていければと思います。